執事10. ページ10
翌朝。
昨日のあの後は一切誰とも顔を合わすことなく部屋にこもっていた。
神山が汚れたワンピースを受け取りにきてくれたぐらい。
「A様、おはようございます」
『あ、神山おはよう……』
朝はいつものように神山が起こしてくれて。
ちらっと辺りを見渡せば部屋の隅っこに立っている重岡がいた。
重岡の顔を見た瞬間一気にテンションが下がった気がした。
「A様…あの……」
『神山、今日の朝食ってなに?』
私の顔色を伺うように少しずつ詰め寄ってくる重岡。
そんな重岡が嫌になって私はベッドから降り神山とともにそそくさと部屋を出た。
.
そしてあれからはずーっと重岡を無視していて。
重岡のことは何も見えていない、もはや空気として扱っていた。
そんな私を見てさすがに重岡も察したのかもう私に話しかけてくることはなくなって。
私もそんな重岡から逃げるようにずっと神山にくっついていた。
「これから散歩に行く予定ですけど…どうされますか?」
『ついてくるのは神山だけでええよ』
「で、でも…それじゃあ重岡が……」
『もういいって、神山早く行こ』
"もうあと三日で一週間で終わるのに"と言おうとした神山の言葉を遮って。
私は何も聞こえないふりをしてずかずかと歩いて行った。
「じ、じゃあ…しげは窓拭きやっといてくれる?」
どこか気まずそうに重岡にそうお願いする神山。
そんな神山はそのまま勢いよく私の元へと駆けつけてくれた。
靴を履き替えながらちらっと重岡の方を見ればどこか悲しそうに窓を拭いていて。
振り向いた重岡と必然的に目が合ってしまった。
『神山、用意できたから行こ!』
私は重岡から慌てて目を逸らして神山とともに家を出た。
.
心なしか神山と二人きりで歩くのも気まずかった。
静かな空間にはカラスの鳴き声だけが鳴り響いていた。
「なんかお腹空いてきましたね」
『えへへ、確かに!久しぶりにお菓子作りでもしようや!』
私の言葉に"いいですね!"なんて言ってくれる神山。
私と神山は二人でたまにお菓子作りをしたりすることも。
お母さんとお父さんが昔から忙しくてよく一人になることが多かったから。
昔からずっと私についてきてくれる神山には感謝しかなかった。
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りってぃ(プロフ) - のんさん» そう言っていただき本当に嬉しい限りです(T_T)全部作品読んでくださるなんて本当に嬉しいです、のんさんも無理しない程度に作品読んでくださいね(;_;)!お気遣いありがとうございます、これからも頑張ります!(^^) (2020年10月20日 19時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです(;▽;)一気にファンになりました。今からりってぃさんの全作品読んできます!無理なさら無い程度でいいのでこれからも楽しみにしています!お身体にお気をつけてお過ごしください (2020年10月20日 13時) (レス) id: dc321bd858 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - やさきみさん» やさきみさん!(T_T)いつもコメントいただいて本当に励みになってました、再開してからも早速コメントいただいて本当に嬉しい限りです(-.-)!また作品書いていく予定なので良かったら見てくださると嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします!(;_;) (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - サブレさん» 長い間待ってくださりありがとうございます(T_T)今まで気長に待っていただき本当に感謝してもしきれません!昔の作品にも目を通してくださるなんて本当に何と言っていいか(;_;)これからも全身全霊頑張っていきますね! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - しゅー!さん» ただいまです(;_;)本当に長い間待たせてしまって申し訳ないです(T_T)新作もすぐに更新していくつもりなので楽しみにお待ちください!1年間もの間楽しみに待っていただき本当にありがとうございました! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年8月14日 20時