新 人 執 事 ≪ Daiki.S ≫

執事08. ページ8

あれから数日。



今日も学校を終えて真っすぐ家に帰る。

家に帰れば相変わらず"おかえりなさいませ！"と微笑む重岡がいた。









「A様、学校はどうでしたか？楽しかったですか？」


『神山、これクリーニングに出しといて』



ずかずかと歩いていく私の後を必死でついてくる重岡。

そんな重岡を軽く無視して制服の上着を神山に預けた。









「A様！今日のおやつはケーキですよ！！」


『神山、明日の予定教えてくれへん？』



「A様、紅茶とか好きですか？それともココアとかの方がいいですか？」


『神山、この間は買い物付き合ってくれてありがとう』



私と重岡は毎日こんな感じ。

軽くスルーしているのに重岡も負けじと話しかけてくるのをやめないから。



最近は毎日こんな感じで過ごしている。









『神山！私ちょっとお昼寝してくるから夕食になったら教えて！』


「はい！！かしこまりました！！A様！！」



そう言って神山の方を見ればなぜか重岡が返事をしていて。

ちらっと重岡の方を見れば相変わらずこちらににこにこと手を振っていた。








……重岡に言った覚えはないんだが。









相変わらずの重岡に呆れながらも私は自分の部屋へと向かった。









.


しばらくぼーっとしていると気づけば夕食の時間になっていて。

久しぶりに自分で起きた私は渋々クローゼットを開いた。



神山がいつも整理整頓してくれているからクローゼットはとても綺麗。

だけど神山が整理しているから探したい服がどこにあるのか見つけるのは少し大変だ。








どの服を着ようかぼーっと探していると目に入ってきた紙袋。

その紙袋はこの間神山と買いに行ったワンピースが入っているものだった。







『こ、これ…着ようかな』



新品だったしなかなか開けづらくて。

少しの間しまっておいたけどそろそろ着てみてもいいかも。









どきどきしながら着替えて大きな鏡の目の前に立つ。

自分に似合っているかは分からないけどワンピースの柄がとにかく可愛かった。






『ふふ、可愛い』



服とかでこんなに気に入ったの初めてかも。

嬉しくなって鏡の前でくるくる回転してみたりして。









こんなに綺麗な柄やしクリーニングに出すのすらもったいないなぁ。









私はなるべくワンピースを汚さないように部屋を出た。

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