執事37. ページ37
苦笑いを浮かべることしかできない私。
そんな私に対して小瀧さんは冷静な表情で"ありがとうございます"と頭を下げていた。
「じゃあまずはお互い挨拶からしようか」
そう言ったお父さんは"まずはAから"と言って私をその場に立たせて。
勢いよく立ち上がった私は目の前に座っている小瀧さんをじっと見つめた。
『あの…私……』
そう言いかけたと同時に目に入ってきた重岡の姿。
そんな重岡は"結婚"というワードに驚いているのか目を丸くしてこちらを見つめていた。
…重岡にだけは聞かれたくなかったのに。
『城山Aです、よろしくお願いします』
一瞬頭が真っ白になったけど。
何とか言えた…気がする。
"初めまして、小瀧望です"そう言ってにこっと微笑む望さんに私も微笑み返す。
そんな様子を見て安心したのか両家族は嬉しそうに笑っていた。
それからはお互いの趣味の話をしたり学校の話をしたり。
しばらく盛り上がっていたときにお父さんが突然"それでな…"と話を切り替え始めた。
「二人にはまだ言ってなかったんやけど」
「両家族で話し合って二か月後に結婚式の予約入れたから」
"また詳しいことは今度話すけど"そんなお父さんの声。
その瞬間私は何か強い鈍器で打ち付けられたようなそんな感覚になった。
≪ 私結婚する人決まってさ ≫
≪ もうそろそろ結婚式の準備もするみたい ≫
そんな加奈子ちゃんの言葉を思い出した。
…結婚式なんて嫌だよ。
何で好きでもない人と結婚して結婚式を挙げて。
それからのことはよく覚えていない。
リビングには楽しそうに話す両家族の声だけが響いていた。
.
気づけば顔合わせは終わっていて。
外に出ると両親たちは楽しそうに向こうの両親と話をしていた。
しばらくそんな両親たちを見つめていると望さんがこちらに近づいてきて。
"両親たち話し込んじゃってますね"なんて微笑んでいた。
「初めて会ったときから思ってたんですけどそのワンピースすごく似合ってます」
そう言って微笑む望さんにどうしていいか分からなかった。
これは私が"結婚したくない"というせめてもの抵抗の思いで着たワンピースなのに。
「スリッパの気遣いも嬉しかったです」
"将来一緒になる人が優しそうな人で良かったです"そう言って微笑む望さんに胸が痛くなった。
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りってぃ(プロフ) - のんさん» そう言っていただき本当に嬉しい限りです(T_T)全部作品読んでくださるなんて本当に嬉しいです、のんさんも無理しない程度に作品読んでくださいね(;_;)!お気遣いありがとうございます、これからも頑張ります!(^^) (2020年10月20日 19時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです(;▽;)一気にファンになりました。今からりってぃさんの全作品読んできます!無理なさら無い程度でいいのでこれからも楽しみにしています!お身体にお気をつけてお過ごしください (2020年10月20日 13時) (レス) id: dc321bd858 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - やさきみさん» やさきみさん!(T_T)いつもコメントいただいて本当に励みになってました、再開してからも早速コメントいただいて本当に嬉しい限りです(-.-)!また作品書いていく予定なので良かったら見てくださると嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします!(;_;) (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - サブレさん» 長い間待ってくださりありがとうございます(T_T)今まで気長に待っていただき本当に感謝してもしきれません!昔の作品にも目を通してくださるなんて本当に何と言っていいか(;_;)これからも全身全霊頑張っていきますね! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
りってぃ(プロフ) - しゅー!さん» ただいまです(;_;)本当に長い間待たせてしまって申し訳ないです(T_T)新作もすぐに更新していくつもりなので楽しみにお待ちください!1年間もの間楽しみに待っていただき本当にありがとうございました! (2020年10月19日 17時) (レス) id: 4df73778e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りってぃ | 作成日時:2019年8月14日 20時