家 庭 教 師 ≪ Daiki.S ≫

教師13. ページ13

あれから一週間。



この"家庭教師"がいるという生活にも慣れてきた。

あと一週間ほどでついに家庭教師が始まって一か月が経つ。









『ふふ、これでやっと家庭教師も解消される〜』



そう、もう少しでこの家庭教師も終わるのだ。

いや…何があってもこの手で終わらせてやる。







結局一週間経った今も宿題なんてやったことないし相変わらず勉強は分からないし。

毎回罰ゲームやら何やらをつけてくる重岡さんには呆れていたのだ。









思い切り伸びをすれば、もうすぐで家庭教師が始まる時間だった。









.



あれから一時間。



目の前で必死で問題を教えてくれる重岡さん。

"方程式の法則はな〜"と丁寧に教えてくれる重岡さんについていくのに必死だった。









「よし！休憩！」


『やった！！アイス！！』



「ほんまにアイス好きやな」


『このアイスのためだけに頑張ったので』



お母さんが暑いだろうからとくれたアイス。

大好きなアイスがやっと頬張れて幸せ。









「相変わらず部屋汚いなぁ」


「その服もどうにかならんのかっ」



最近では重岡さんともこんな会話ができるようになって。

私の汚い部屋やだっさい服をつっこんでくる重岡さんは相変わらずだ。









『てゆうか…重岡さんって何で家庭教師やろうと思ったんですか？』



ふと聞いてみたそんな質問。

本当にただの興味本位で会話の一部に過ぎなかった。




私の言葉に重岡さんはどこか悩んだように"ん〜"と言って。

そのまま"花沢ちゃんにだけ特別に教えてあげる"と言ってくれた。









「俺さ将来は教師になりたいねん」


『学校の先生ですか？』



私の言葉に"そう"と頷いた重岡さん。

そんな重岡さんはどこか懐かしむように微笑んでいた。



その横顔はとても綺麗だった。









「俺高校のときめっちゃぎゃーぎゃーしてたんよ。

勉強もできひんし毎日うるさいやつらとつるんでるし周りからもうざがられてた。」



高校時代の重岡さんの話。

初めての話に少しだけ嬉しくなった自分がいた。









「まさに花沢ちゃんみたいな感じ？」


『重岡さんと一緒にしないでくださいよ！』



そう言ってこちらを見た重岡さん。

そんな重岡さんに言い返せば重岡さんは楽しそうに"ふはっ"と笑っていた。







「そんな俺を差別することなく優しくしてくれた先生がおってさ」









そう言った重岡さんはとても優しく微笑んでいた。

教師14.→←教師12.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す