家 庭 教 師 ≪ Daiki.S ≫

教師01. ページ1

高校二年生、夏。



ここ最近ずっと暑いし毎日のようにそこら辺でセミとか鳴いてるし。

変な虫とか家に入ってくるし汗めっちゃかくし。








『最悪や、大遅刻！！！』



急いで家を飛び出して早歩きで学校へと向かう。

時刻は10時半、本気の本気で大遅刻してしまった。



でも今さら走ったってどうせ怒られることに変わりはないし。

走ったら汗でベトベトになるしメイクも髪もぐしゃぐしゃになるし。









そして結局ゆっくり歩くことにした私。

毎日を楽しく生きたいなんて思いながら過ごしている典型的な馬鹿なタイプだ。






『げっ…あれは大学生か？』



ゆっくりと歩き進めていると目の前で集まっている大学生らしき軍団が。

"ぎゃはは"と飛び交う笑い声が少し怖く感じた。








「あれ〜？こんなところに高校生？」


「もしかして遅刻？それとも抜け出してきたん？」



通り過ぎようとすれば案の定食らいついてきた大学生。

早く行かないと本気で三時限目始まってしまう…さすがにどうしよう。




戸惑っていると突然遠くからぶーんぶーんっとバイクの音がして。

慌てて振り返ればすごい勢いで走ってきたバイクはそのまま目の前でゆっくり停止した。









「先輩、何してんすか？」


「重岡、ちょうどええところに来たわ！」



被っていたヘルメットをぱかっと外した男の人はそう聞いて。

そんな重岡さんに男たちは"この女子高生ナンパしてて"と事情を説明していた。



この男たちと同じ学校の人なのかな。








「そんな子供っぽいやつナンパするなんて趣味悪いんすね、先輩」


「なっ！なっ！お前生意気やぞ！！」



そう言って微笑んだ重岡さんはとてもきらっきらの笑顔で。

その真っすぐな笑顔にしばらく見惚れてしまっていた。



って…今私結構な悪口言われへんかった？

子供っぽいとか趣味悪いとか言ってへんかった？









「濱ちゃん行こ」



重岡さんは一緒にバイクに乗っていた人にそう声をかけて。

ヘルメットを被り直してそのままぶーんっとバイクを走らせていった。





"おい！重岡待て〜！！"そう言って必死で二人の後を走って追いかけていく男たち。

おかげで私は一人ぽつんっと取り残されてしまった。









『もしかして助けてくれたのかな……』







それにしても楽しそうやったなぁ。

ああいうの憧れるな、きらきらしてて青春してて。









ちらっと時計を見ればもう10時50分で私は慌てて学校まで向かった。

教師02.→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す