嫌い11 ページ11
『キルア…そんなに心配してたの？私なら大丈夫だったのに…』
前を向いて走っているゴンに問いかける。
すると、意外な応えが返ってきた。
「心配してるよ！でも、1番は、オレがAさんのこともっと知りたいって思ったんだ！だから、一緒に行動したいと思った！…キルアには内緒、ね？」
人差し指を立てて口元にあてがいウィンクをしたゴンに、『へぇ…』と間抜けな声が出た。
「ゴン、A！遅かったじゃん！」
「ごめん！」
何故か少しむくれているキルアは、2人が傍までくると間に割って入った。
それのせいでぱっと離れた手を見たゴンは「…あ〜」と残念そうにしている。
その反応にキルアは更に頬を膨らませていた。
「ばぁか！ほらさっさと行くぞ！」
「ばかって…もう、分かってるよ！」
『ふふっ』
「Aも笑ってないで行くぞ！」
『はいはい』
2人の会話に思わず笑い声が漏れる。
こんなに楽しそうにしているキルアは見たことがなくて、Aは嬉しさのあまり更に表情が緩んだ。
ーーーーーー………
「…ゴン、Aもっと前に行こう」
3人揃って走っていると、何かを感じたのか、キルアは険しい表情をしている。
ただ、私にもその感覚は伝わってきているから、キルアの意見には大賛成だった。
「うん！試験官を見失ったら大変だもんね！」
「そんな事よりヒソカから離れた方がいい…あいつやばいぜ……匂いでわかる」
ゴンは「匂い？」と一瞬考えてから空気の匂いをかいでいるようだ。
そういう意味ではないんだけれど…
『ふふ、ゴンってばかわいい』
「クラピカ！レオリオ！前にいた方がいいってさー！」
「ぁ、おい…緊張感のない奴だなぁ！」
純粋なゴンに和まされる。
後ろにいるレオリオ達を心配そうに表情を曇らせながら前を見て走るゴンを見ていると、腕をギュッと引っ張られた。
視線を移すとキルアが小さく「行くぞ」と呟いている。
『わかってるよ！見失ったら大変だもんね！』
「いや、Aはぜんっぜん！分かってねえ！」
『えー？』
ふんっと顔を背けるキルアに、Aは困ったように笑う。
すると、背けていた顔をゆっくり此方に向けた。
その表情は真剣で、少し頬が紅い。
「守るっつったろ…お願いだから、離れるなよ」
『うん！』とそう言えば、キルアは私の手を握り締め走る速さを早めた。
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作者名：アリエス | 作成日時：2018年12月23日 23時
