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中華鍋でもかぶりたまえ ページ2

新堂の宣言通りにのせられた目玉焼きは半熟で、炒飯と共に湯気をたてる。山状のキムチ炒飯を乗せたお皿を僕の前に置いた新堂。礼も言わずに食べようとすると睨まれたのでしょうがなくありがとうの言葉を言う。満足したらしい新堂はスプーンを渡してくれた。

最初の一口は普通のキムチチャーハンのところ。卵無しの味でもキムチの辛さはよくきいていて、食べる前から確信していた通りの美味しさだった。次は目玉焼きも一緒に。スプーンで一筋の切れ目を入れるとそこからトロリと溢れだしてくる黄身。火を通したことで本来の色よりすこし濃くなったオレンジ色とチャーハンを絡めて食べる。やっぱり美味しい。


「俺にも一口下さい!」
「え、やだよ」
「新堂さぁん!」
「河村君につくったもので全部や、見てたやろ」
「あー俺も腹減ってきた!山本さんも減ってきてる!だって口数減ってるもん!」
「うん、僕もお腹空いてきました」
「そろそろ伊沢たち来るからつくっても食べられないと思うけど」


不貞腐れる後輩二人を無下にすることも出来ず、かといって今からつくっていたら間に合わない。面倒なジレンマに陥った新堂を見て僕がニヤニヤしていると、ドアの開く音がした。玄関を見ると、遅れましたー、という呑気な声を出す伊沢と福良。本来の時間からだいぶ経っているのに全く悪びれる様子の無い二人の顔。本当に高学歴?


「何このいい匂い…あー!新堂さんの飯じゃん!いいなー、羨ましい」
「なになに、新堂のご飯あるの?俺も食べたい」
「撮影が先やで、お二人さん」


伊沢は後輩2人とともに飯作ってくれコールを始めて、福良は首を傾げて可愛こぶったお強請り。にっちもさっちもいかないこの状況にため息を着いた新堂、どうやら観念したようで台所へ向かう。それを見て勝利の雄叫びをあげる年下三人は、子どもにしか見えない。新堂に着いていく福良は完全に料理に口を出す気満々だ。多分、いつもみたいに野菜抜きでって駄々をこねるんだろう。僕は伊沢たちに盗られないうちに、と炒飯を口に運んだ。うん、やっぱり美味い。




新堂A

河村福良と同い年
ライター兼料理人
関西弁

QKの料理人→←残飯処理なんてさせない



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マサ(プロフ) - また、近頃あまり見なくなった、インターネットを通して読む文章だからこそのギミックも感激致しました。素敵な作品をありがとうございました。長文駄文失礼致しました。 (2021年11月14日 21時) (レス) id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)
マサ(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけて一気に読ませていただきました。全体的に文章自体が読みやすく、私は料理に詳しくないのですがそれでも分かりやすく書かれており、ストーリーも大変面白かったです。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page29 id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月5日 0時

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