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残飯処理なんてさせない ページ1

「あ、お昼買ってない」
「食べてないんですか?」
「コンビニ寄るの忘れてた」


午前中の作問セミナーからそのまま来た撮影部屋にはこうちゃんと山本、それから同期の新堂しか居なかった。

お腹がすいたなぁと思い、時計を見ればもう13時をすぎていて、駅からここに来る途中にコンビニによろうとしていたのを忘れていたことに気づいた。思わず自分に舌打ちをする。遅刻するという連絡が来ている福良と伊沢はあと30分程で来るらしく、コンビニまでもう一度引き返すほどの時間は残されていない。

そうなると僕に残された手段は1つで。


「ねぇ新堂、暇?」
「カメラの設置中や、見て分かるやろ」
「それ福良達が来てからで良いでしょ、ちょっとご飯作ってよ」
「暴挙じゃないですか」
「紂王じゃないからセーフ」
「自分は妲己なん?」

嫌がる新堂を引っ張ってキッチンまで連れていく。共用の冷蔵庫をあされば、常備してある食材が多少は存在する。野菜や卵、ご飯などの中身を押し付けると新堂は肩を竦めた。

「麺と…卵とコーラ、ご飯がある。後は鍋の時の残りの野菜と福良のポテチ」
「河村君の力量でこの材料ならTKGがつくれるで」
「なにそれ」
「卵かけご飯」
「僕皇族だからそういうの食べないんだけど」
「見え透いた嘘やめへん?」

僕の言葉に笑った新堂は換気扇をつけた。油を入れたフライパンを火にかけると、何を作るか気になったのかこうちゃんと山本がやってくる。

「TKGつくるんですか」
「いや、炒飯」
「ちゃんとしたもの作ってあげるんだ、優しい」
「河村さんお礼言いました?」
「味によるかな」
「最低じゃん」

冷凍ご飯を手渡され、言われるままにレンジで軽く解凍しフライパンにいれてほぐす。僕が未だ固まっている白米と格闘するなか、もう1つのフライパンでは新堂が片手で卵をわって目玉焼きをつくろうとしていた。ジュージューと小気味よい音を立てて焼ける目玉焼きを放置し、新堂は僕の手からフライパンを受け取る。慣れた手つきでちぎった野菜とキムチ、コンソメなどの調味料を投入し炒め始める。フライ返しもお手の物だ。あ、いい匂い。
年下2人はあんまり自炊をしないのだろうか、調理場面を興味深そうに見ている。

「キムチチャーハンだ!」
「キムチは元々様々な調味料が入っているからな、調味料が少ない調理場じゃあ重宝されるで。ドレッシングもそう」
「卵とかないんですか?炒飯なのに」
「慌てなさんな、目玉焼きにして乗っけるんよ」
「目玉焼き?」

中華鍋でもかぶりたまえ→



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マサ(プロフ) - また、近頃あまり見なくなった、インターネットを通して読む文章だからこそのギミックも感激致しました。素敵な作品をありがとうございました。長文駄文失礼致しました。 (2021年11月14日 21時) (レス) id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)
マサ(プロフ) - はじめまして。この作品を見つけて一気に読ませていただきました。全体的に文章自体が読みやすく、私は料理に詳しくないのですがそれでも分かりやすく書かれており、ストーリーも大変面白かったです。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page29 id: 3122429ec9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月5日 0時

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