9︰混沌を煮詰めた地獄 ページ9
「「!?」」
カルエゴとイルマの思考が、同時に停止した。二人はゆっくりと視線を落とす。
召喚陣の外――ぺかーっと神々しく光りながら、存在する“カルエゴの下半身”。そして視線を上げる。
召喚陣の内に立つ“カルエゴの上半身”。
……綺麗に分かれとる。R指定待ったなしの猟奇ビジュアルである。
「はッ、はぁぁぁぁああ?!!!?」
講堂を震わせる絶叫。間違いなくナベリウス・カルエゴ史上最大にして最悪の音量である。
『ちょ、待って待って待ってカルエゴ生きてる?!身体真っ二つで死んでない?!!』
「どう見ても生きているだろうがッ!!」
即答&声量MAX。この生命力の強さ、さすが位階8である。
「というか貴様ァァァァ!! 何をしたァァァ!!」
「そ、それが僕にもさっぱり!!」
当の本人も半泣きである。
『と、取り敢えずイルマくん!召喚の儀を中止にしよう!!』
Aとイルマは「せーの」でカルエゴの足を掴み、召喚陣から引きずり出そうとする。だが、動かない。
「ぐぅおああああちぎれるちぎれるっ!!馬鹿者!!こういうときは押すものだろう?!」
『それもそうだわ、スマン!』
「す、すみません!」
反省が軽い。
Aは慌てて上半身側へ回り込もうとする。
しかし。
テンパった入間が、良かれと思って下半身をグイッと力強く押し込んだ。
『違うイルマくん上半身!!上半身押さなきゃ!!』
時既に遅し。
まるで栓が抜けるように、カルエゴの身体が召喚陣の外へ完全に出た。
「しまっ…」
言い終わるより早く。
ボフンッ!!
白煙が爆発するように広がっていき、視界が奪われる。
『か、カルエゴ!?』
煙がゆっくりと晴れていく。白が薄れ、輪郭が浮かび上がる。
そこに立っていたのは――……いや、“立って”はいない。
ちょこん、と。小さな丸い生き物が宙を浮かんでいた。
「「!!??」」
ぱたぱた。
もふもふ。
異様にボリュームのある自分の胸毛をつつく。
『カルエゴーッ!!』
「先生ーッ!!」
ふらり、と小鳥が揺れる。
威厳ゼロ。
そのまま倒れかけた瞬間、Aが滑り込むようにキャッチした。
ふわっ。
「せ、先生!大丈夫ですか!?というか先生なんですか!?」
「バカな…こんな…こんな…!」
ショックにふるふると震えるカルエゴ(仮・小鳥ver)。
・モフモフの使い魔になったあの陰湿堅物同期、カルエゴ
・教師を使い魔にしてしまった特待生、イルマ
・イルマの所業に慄き、ザワめく生徒
・感動して泣き出すアリス←NEW!
『何この地獄』
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