大ちゃんは、俺のだから。-second-【ar×ym】 (ページ20)

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…うぅ、しんどい。

明日から仕事だと言うのに…。

あの収録から2日。一晩たっても、

俺の熱は未だに下がらないでいた。

実は俺はあのあとから体調を

崩してしまっている。

今日はせっかくの振り替え休日なのに、

この熱のせいでつぶれてしまいそうだ。

はぁ…ついてないな。

あの日。

山田に弱音を吐いたあと…

ちょっと気まずかったけど、

俺は普通に収録に戻った。

怪我の影響もあって、俺が出る予定だった

競技は圭人、知念が出てくれた。

でも、圭人、知念もしんどいはずなのに、

文句ひとつも言わなかったんだ。

それどころか、お疲れって笑ってくれたんだ。

…たぶん、おそらくだけど、

山田がかばうような言葉を言ってくれたんだと

思う。

まぁ、これは俺の勝手な憶測だけど…。

家に帰ってからは、収録で疲れたのか、

それとも泣きつかれただけなのか。

よく分からないけど、とてもつもない眠気が

襲ってきて、その日はすぐに眠った。

そして、次に目が覚めたとき。

なんと身体中の寒気が収まらず、

咳と喉と痛みというありきたりな症状が、

俺を襲ってきたのだ。

今日はめずらしく仕事が休みだったから

よかった。

静かな俺の部屋。

無性に心細くなって、ギュッと目をつむる。

なんか弱ってるときって、

意外に寂しくなるんだよな。

…あぁ、身体が熱い。しんどい。

朦朧とする意識のなかで、

俺はあの日の出来事を思い出していた。

『今ある弱音、全部吐いて』

それは2個目の命令。

俺、山田の前で思いっきり

泣いちゃったんだよな…。

うわ…はずかし。

しんどいのはイヤだけど、これはこれでいっか。

ちょうど熱出したおかけで、

山田と顔を合わせずに済むし。

『忘れてよ。いのちゃんなんて』

…どうして山田は、あんなこと言ったのか。

『…早く笑って…』

強引だけど優しい声を、

頭の中で繰り返し思い出しながら、

俺は眠りについた。