54 スーツのジャケット ページ14
「あのねぇ、恥ずかしくないの？電車でそんな、」
「恥ずかしい？全然。小学生の頃から届きそうで全くかすりもしなかったお前がようやく手の届くとこに来てくれた。なにも恥ずかしいことはない」
「……」
…その発言が恥ずかしいって事に気づいていないのだろうか。
「……週末に行ってくるよ」
「俺も行く」
「……」
「当たり前だろ。訳わかんねぇとこにお前ひとり行かせられるか」
「……」
智君に対抗意識を燃やしてるのか、いつもより数倍面倒くさい奴になってる。
「……決めるのは私だからね？」
「…………」
ものすごい嫌な目で見られた。
駅から家に帰る途中、むすっとしたままの翔の隣を歩いた。
少し強い風が吹いて、肌寒い。
肩を震わせると、背中がふわっと温かくなった。
「、」
「寒いならどうぞ」
「……」
掛けられたスーツのジャケットから翔の匂いがした。
いつもの香水の匂いと、ふわっと汗の匂い。
でも嫌な気持ちは全くない。
……むしろ、ちょっとどきっとする。
「ありがとう」
「はは、」
なぜだか隣から掠れた笑い声が聞こえて、そちらに視線を向ける。
「……どうしたの」
「……混乱してんの」
「え？」
さっきより強い風がふたりの間をすり抜ける。
咄嗟に掛けてくれたジャケットを片手で掴むと、翔の手が背中に回った。
「すげぇなビル風」
「飛ばされなくてよかった」
「ジャケット？そんなもんどうでもいいわ」
「よくないでしょ、」
「いや。むしろなくなった方がよかったかもな」
「え、」
「Aが風邪引かないようにこうしても不自然じゃない」
「っ、」
急に肩を抱かれてよろけた。
耳が翔の肩に当たって、一気に心臓の音が速くなる。
……え、なんで。
「、離してよ、」
「やだね」
「、」
顔を少し引いて翔を睨むと、思いの外顔が近くにあって思いっきり逸らす。
「、……」
……私、変だ。
「傷つくなー」
「……うるさい」
強く言えない。
声がうまく出ない。
掠れたような弱々しい声が、翔のことを意識してるって思われたんじゃないかって。
考え出したらそうとしか思えない。
「わーったよ」
体が急に寒くなって、翔が離れてしまったことを知る。
、いやっ、
離れてしまったって！
……きっとそうだ、昨日キスされたから。
だから近くにくると意識してしまうんだ。
これも翔の作戦？
魂胆にまんまとハマってる？
……なんかやだ。
*
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やっち(プロフ) - 終わったのですか？続きはないのでしょうか？ (2022年11月24日 7時) (
レス) @page19 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこ - 毎日更新楽しみに待ってます！他の作品もあり忙しいと思いますが、こちら側の更新も頑張ってください！ (2020年3月30日 20時) (レス) id: 48a344ee55 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ことさん» ことさん、こんばんは！楽しんでいただいてるようで嬉しいです(o^^o)智君、いい具合にかき乱してくれてます(笑)続きも頑張ります！ (2020年2月28日 20時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
こと - コメント失礼します！いつも楽しく読ませてもらってます！智くんに邪魔されながらははも翔くんとくっついて欲しいです (2020年2月26日 23時) (レス) id: b54b8431a8 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - みかぽさん» みかぽさん、こんにちは！智君にかき乱されたい欲がどうしても出てきてしまう作者です(笑)翔君は余裕そうなのよりガンガンいってほしくていつもとちょっと違う雰囲気にしてます(o^^o)続きも楽しんで書いていこうと思います♪ (2020年2月20日 16時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさこ
| 作成日時：2020年2月16日 0時
