60金曜日 ページ20
次の日の朝。
あれから全然眠れなくて、ようやく寝られたのが朝方。
それも多分だけど、意識が飛んでたからきっと少しは寝られたんだと思う。
智の物音でどうにか起きれただけど、全然すっきりしていない。
……もう、金曜日だ……
「……」
「……、あ、A。おはよ」
「……うん」
少し体を起きあがらせると、いつものようにキッチンでコーヒーを入れようとしてる智。
笑顔、うまく作れてるかな。
智はいつも通りの笑顔だ。
へにゃって笑って癒される目尻の皺に、胸がぎゅうっと掴まれたみたいに痛くなる。
「あ、そうだ。うちの親が来るの、日曜日になったから」
「、」
「明日は土曜日だし、どっか行かない？」
「え、」
昨日、智は確実に"一週間って言ったのにごめん"って言った。
どういう意味なのかははっきり分からないけど、たぶん。
一週間の関係なのに、本気にさせちゃってごめんね、みたいな、、
…きっと、日曜日にはなくなる関係ってことだよね。
だから、明日は思い出作りをしようってこと…？
「それかさ、今日どっか泊まりに行くとか？温泉とかさ」
「、温泉？」
「近場ならどう？箱根とか。仕事終わってからでも行けんじゃん」
智の笑顔はやっぱり優しくて。
私大丈夫？絶対笑えてる気がしない。
これが最後なのかもと思うだけで、泣きそうなくらいなのに。
「…いいよ」
「、いいの！？」
「うん」
「わ、じゃあ俺予約しちゃっていい？」
「うん」
「よっしゃ！」
目の前で、智が喜んでる。
喜んだふりしてくれてるのかな。
私たち、もう日曜日で終わりなんだよね？
……本当に？
ああ、なんかもうどうしたらいいかわかんない……
その日の仕事はどうも手に着かなくて、来週半ばまでの仕事がほとんど進まなかった。
来週か……来週なんてもっと進まなくなりそうで怖いけど、今はそのことを考えただけで泣きそうになるから、考えるのを止めた。
今日は定時に帰ることだけを考えよう。
お昼の時間になっても食欲がわかなくてデスクでぼーっとしてたら、社長に"幸せ病かー！"って背中をぽんと叩かれた。
幸せ病……そんなの聞いたことないけど、それならよかったのに。
きっと私、週末にフられるんです、なんて。
そんなの言えっこない。
目の前でお弁当を広げてたパートさんが、心配そうに声を掛けてきてくれた。
「……Aちゃん、大丈夫？」
「え」
「顔色悪いわよ、ご飯食べてないわよね？早退したら？」
*
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さゆ(プロフ) - こんにちは。とっても素敵なお話をありがとうございました(*´∀｀)何回読んでもぐっときます！妬いてるのも独占欲強いのもかわいい。まっすぐな智くんが素敵すぎです。また、智くんで書いてほしいなぁ。楽しみにしてます。 (2020年3月5日 12時) (
レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
智恵里(プロフ) - うわぁーん(。´Д⊂)素敵すぎます！！幸せになってくれて良かった！！ (2019年11月18日 20時) (レス) id: 82290003ef (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - さぼてんさん» さぼてんさん、こんにちは！無事完結しました！次のお話もお付き合いいただけると嬉しいです♪ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ともさん» ともさん、こんにちは！楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)コメントありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ていくさん» ていくさん、こんにちは！お話、最後までお付き合いいただき、楽しんでいただけたようでよかったです(*^_^*)ニノのお話読みたいと言ってくれる方がいてよかった(笑)一歩踏み出す勇気が出ました(*^_^*)いつもありがとうございます！ (2019年11月18日 11時) (レス) id: 2a9d2935f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うさこ
| 作成日時：2019年9月7日 0時
