295“お前”3/12 ページ15
結局終わったのは9時半。
飲みに行ける時間だけど、今からだと11時は過ぎる。
いや、こんな日にそんな早く帰るわけがない。
早くなんて帰りたくない。
のに…
翔「…やめとくか」
A「え、」
もしかしたら言われるかもって思ってた。
けどそれだけは嫌だ。
今日櫻井さんと話が出来るって、その事だけ考えて仕事してたんだから…っ、
翔「明日もあるし…」
A「、嫌っ！」
翔「、」
思いの外大きい声が出て、自分でも少し驚く。
他に誰もいない部屋に、私の声が響いた。
翔「…嫌なのか」
A「…」
翔「帰りたくない…ってこと？」
その真剣な目で見つめられて、声が出せない。
帰りたくない。
帰りたい訳ないじゃない。
だってようやく櫻井さんとふたりで話せるのよ。
どんなにこの日を待ち望んでいたか…
どうにか首を縦に振って、口を尖らせる。
翔「…じゃあ俺んちくる？」
A「、え、」
、家？
突然家っ！？
付き合ってた時に何度かお邪魔したあの家に、今から行けるの？
A「…」
翔「……うそ」
いつもと違う、少し弱気な櫻井さん。
家に行けるってことは、やっぱりまた翔君って呼べるってこと…？
ちょっとふてくされて唇を尖らす彼が、可愛すぎる。
A「…行っていいの？」
翔「…お前が良ければ」
A「…お前…」
前に言ったことがある。
“お前”は嫌だって。
付き合い始めて名前を呼んでくれるようになって、嬉しかった。
翔「……Aが、良ければ」
恥ずかしそうに目を伏せる。
なんなのこのかわいい人は。
私の名前を呼んで、耳まで赤くなってる。
…好きでいてくれてるってこと？
ああもう、期待しか出来ない。
A「…家に来てほしいってこと？」
翔「、…別にお前が考えてるような事は、」
A「お前…」
じいっと目を見つめて、無言で訴える。
翔「……Aが、考えてるような事はしない」
わざと私の名前を強調した。
A「私が考えてる事ってなによ」
翔「…強気だな」
A「強気？だってこれはプライベートな会話でしょ」
翔「…かわいくねぇな」
A「そんなこと、今に始まった事じゃないわ」
翔「そうだった。お、…Aは可愛くないんだったな」
今絶対、“お前”って言おうとして、言い直した。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5096人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさこ(プロフ) - ともさん» ともさん、初めまして！コメントありがとうございます(*^^*)楽しんで頂けてよかったです♪またそのうちSな翔くんが書きたくなる時期が来ると思うので、またその時はぜひ、よろしくお願いします☆ (2019年5月3日 1時) (
レス) id: bf6cb008e1 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 初めまして。ドS櫻井先生からキュンキュンしてこちらを一気に拝読させて頂きました！俺様櫻井主任に振り回されながらも素敵な仲間に支えられて感動すら覚えました。会話のテンポがとっても楽しかったです。 (2019年5月2日 16時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - セイさん» セイさん、はじめまして！楽しんでもらえて良かったです(*^^*)SなSさん、時々書きたくなるのでまたその時を待って貰えたら☆他にもSなSさん書いてるので、まだでしたらそちらもどうぞ♪ (2019年4月7日 11時) (レス) id: bf6cb008e1 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ひつじーさん» ひつじーさん、こんにちは！お返事遅くなり申し訳ありません。900！ありがとうございます！楽しんでもらえて良かったです(*^^*)これからも楽しんでもらえるお話をお届けできるように頑張ります！ (2019年4月7日 11時) (レス) id: bf6cb008e1 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - はじめまして。おもしろくて、一気に３日で全部読んじゃいました。年下S上司可愛くて、キュンキュンしまくりです。Sが大好きなんで、これからも楽しみにしてます。 (2019年4月7日 0時) (レス) id: 5ac6b400c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさこ
| 作成日時：2018年2月13日 23時
