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萩原の言葉に降谷は思わずキーボードを打つ手を止めた。

言葉を返すことも振り返ることもできない降谷はいま萩原がどんな顔をしていてどんな思いでそんなことを言ったのか分からなかった。

降谷にはそれが苦痛でしかたがなかった。

そんな彼の心を知ってか知らずか萩原は独り言のように続けた。


「俺さ、本来であればこんな形で生まれ変わることもなかった訳なんだけど何で生まれ変われちゃったと思う?」


(知るか)


心の中で突っ込みをいれつつ止まっていた手を動かし始める。

萩原はそんな彼を面白そうに見つめる。


「ねえ降谷、俺は無条件に生まれ変われたと思う?

ただその辺に転がってる人間が末端と言えども一神様として生まれ変わる事がどれだけ凄いか想像できる?」


問いかける萩原の言葉を完成した書類に目を通すふりをして耳を傾ける。

そしてその次に聞こえた声に降谷は目を見開いた。


「俺さ、生まれ変われる条件に朱雀さんと約束したんだよ。

“必ず透の支えになる”ってね。

この意味がわかるか?」


降谷は完成した書類をホッチキスでまとめ次の書類に取りかかる。

萩原はそれ以上は口を開かず仕事をし続ける降谷の後ろ姿を見ていた。


(なあ降谷、知ってるか?

俺はお前自身の支えにはなれても心までは支えてやれねえんだぞ。)


声に出さない言葉は当然ながら降谷には聞こえていない。

だが彼は考えなくてはならないのだ。

萩原だってバカではない。

朱雀や加州、五虎退の態度で何故彼らがあんなにも強くなることにこだわりどういう結末になるのかなんて薄々気がついていた。

朱雀が死ぬ気なのも他の2人がそれを黙認しているのも言われこそしないが感じていたのだ。


(なあ降谷、俺はお前を“安室透”とは絶対に呼ばない。

俺が知ってるお前は何時だって“降谷零”だ。

もしいつかお前がお前を見失う事があったら俺は何度でもお前を“降谷零”と呼ぼう。

そうしてお前を支えることはできるんだ。

だけど……)


萩原は悲しそうに目を伏せる。


(だけどお前の心の支えは“朱雀晴明国永”なんだろう?)


お前はこのままでいいのか?何て言葉は飲み込み萩原は唇を噛む。

そして静かにその場を離れると廊下の角に頭を預ける。


「はぁ……

朱雀さん、あんたとの約束ちょっと厳しいよ……」


呟いた萩原は覚悟を決めたように顔をあげ歩きだした。

けじめ→←2



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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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