シュトラウス ページ30
神社から離れ宿につく頃には先程の事がなかったかのように和やかな空気が流れていた。
「じゃあ織田くんは吉光くんの兄弟なんですか!?」
「ああ。
上杉は俺の兄弟だぜ。
俺たち兄弟は生まれてから直ぐに仕える家へと送られる。
だからどんな形であったとしても兄弟だってわかるように兄弟全員"吉光"って名前がつけられるんだ。
だから俺も『織田吉光』ってんだ。
兄弟共々よろしくな!」
くったいない笑顔で挨拶をする薬研は嘘をついてはいないが現代社会では圧倒的に可笑しなことをいい、警察組や年頃の娘を持つ小五郎は顔を更にしかめた。
人間として己の子を誰かに売るなんてそんな家業はあってたまったものではない。
これを見過ごしているという事実に事情を知らない警察官達は固く拳を握った。
暗くなった空気に首をかしげる刀剣達と言い方が悪いと溜め息を吐く事情を知っている組。
そんな中空気を破る明るい声が響いた。
「僕の自己紹介がまだだったね。
僕は沖田清光。
そこにいる大和の従兄弟だよ。」
「相変わらずお前はクラッシャーだね。」
呆れたように肩を竦める加州は大和守に突っ込んだ。
「それが僕のいいところでしょ?」
してやったり顔の大和守に加州は否定はしないとうっすらと笑う。
「へぇ、従兄弟っていうより双子ってくらいよく似てるね。」
「「誰がこんなメンヘラ/ブスと!!」」
世良がまじまじと二人を見るとお互いに相手を指差しながら声を揃えて叫んだ。
「ほんまに息ピッタリや!」
「世良さん上手いこと言ったわね!」
「「どこが!?」」
高校生に混ざりながら楽しそうに笑い会う彼らに朱雀は鶴丸のとなりで穏やかに微笑んでいた。
そんな朱雀を見ながら深刻そうな顔をしていた降谷は加州にそっと訪ねる。
「…もしかしてあの男が?」
なにとは言わなかったが加州はそれが何のかが分かったようで"そうね"といって頷いた。
「あの男はシュトラウス。
僕たちの大切な人を死に追いやり、僕たちの仲間を傷つけ、楓を強 姦した男だよ。
殺したいほど嫌い。」
心底嫌そうな顔に殺気を浮かべながら加州は言葉を吐いた。
それを見て隣にいた大和守も同意するように頷く。
「いつか首を落とす。」
物騒なことをいう彼らに周りが押し黙ると朱雀が二人の肩をポンと叩く。
「お二人とも顔が怖いですわ。
子供達の手前そんな顔はなさいますな。」
優しく頭を撫でられた二人はばつが悪そうに下を向いた。
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
泉 - とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時