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「綺麗…」


誰がこぼしたかわからないその声に全員が頷いた。

すると今まで奏でられていた笛の音がピタリと止み降谷にとっては聞きなれた美しい声がその場に響く。


「皆様お揃いでよくこの場所にたどり着くことができましたね。」


上から聞こえた声にバッと上を見ると一際太い楓の枝に腰掛け、ゆったりと幹に体を預ける朱雀がそこにいた。

違和感がなかった。

その事に降谷はハッとし古く寂れた神社の名前を読み声を失う。

この神社の名は


「ようこそおいでくださいました。

ここは"朱雀晴明神社"、別名"赤の葉神社"でございます。

人を拒み認められた者のみが立ち入りを許される場所。

そして私の秘密の場所。

皆様がこの場に来れたこと大変嬉しく思いますわ。」


綺麗な笑顔を浮かべる彼女の手には笛が握られていた。


「楓お姉さんがさっきの笛を?」


歩美がキラキラとした目で朱雀に訪ねると彼女は頷く。


「ええ。

まだまだ未熟ではあるのだけれどどうしてもこの場所に来ると笛を吹きたくなるの。」


「あれで未熟とか言わないし…」


「まったくです…」


2人の神様は呆れたようにため息を吐く。

その呟きは誰にも聞こえることがなかったがそれに同意するかのように女子高生達が食いついた。


「そんなことないですよ!!」


「素人のボクが聞いても綺麗だって思ったよ!!」


「そうよ!

それだけで食べていけそうなくらい素晴らしかったわ!」


「楓さんて美人なだけやのうて芸達者なんやなぁ!」


「ふふっ、そういっていただけるなら幸いですわ。」


朱雀は木の上から楽しそうに下を見下ろしながら答える。


「それでこの神社ってどんな神社なんですか!?」


光彦が目を輝かせながら訪ねる。

朱雀はその言葉にそっと目を伏せると懐かしむように語り始めた。


「先程も言った通りこの社は人を拒み来るものを選ぶそんな場所。

もっとも、貴殿方のような"目に見える"物しか信じないような方には信じがたい話かもしれませんけれど。」


そう言ってコロコロと笑う朱雀はどこか神秘的で美しかった。


「それではお話いたしましょう。

この社がなぜ生まれ、この社の神がどう終わったのか…

この社を任され神と共に都を見守り続けてきた"都守家"の伝承を。」


歴史に残されなかった刀の過去が、他の刀剣男士も知らない歴史が静かに語り出された。

3→←朱雀晴明国永の話



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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時

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