朱雀晴明国永の話 ページ20
楓林の中はどこか神秘的で見るもの全てが圧倒される感覚を抱くそんな場所であった。
先頭を行く加州と五虎退についていきながら人々は楓林の奥へ奥へと足を進める。
「あの、この先に何が?」
「ある神様が祀られている神社です。」
降谷に問われて五虎退は足を止めることなく答えた。
五虎退の回答に要領を得ないのか全員が顔を見合わせ首をかしげる。
「この先にあるのは安倍晴明が友人を守るために作った刀、別名"都守りの守護刀"と呼ばれる刀が秘密裏に祀られているんだよ。
歴史に残らないように、それでも確かにそこにあった証としてね。」
補足するかのような加州の物言いに一同はさらに頭の上に?を飛ばす。
その様子に加州はクスリと笑うと歩みを止めずに口を開く。
「まあ知らないのも無理はないよ。
その刀はさっきも言った通り歴史に名前を残さないように、存在を残さないように刀の産みの親である人物が自分の全力の力をもってして隠してきた刀だからね。」
その刀を思い浮かべたのか加州と五虎退はお互いに優しそうな顔で微笑んだ。
「でもそれじゃあおかしいよ。
何で2人はその刀の事を知っているの?」
コナンに指摘された2人はそれまで止めることのなかった足をピタリと止める。
「…その刀は人を選び信じられるものにしか姿を見せることはないと言われているんだよ。」
「僕達がその刀を知る理由は単純です。
僕達はその刀を"見たことがある"からです。」
ここまでの道中どれだけ話しかけても決して振り返ることをしない2人の額にはうっすらと汗がにじんでいた。
その事に降谷と沖矢は目を見開いて驚いた。
そして先程から一言も話さない萩原に目を向けると彼はあり得ないほど顔を真っ青にしながら自分の両手を抱いていた。
(何が起きている?)
降谷が辺りを見回そうと首をひねろうとしたとき優しい笛の音色が前方から聞こえてきた。
その音色を聞いた加州と五虎退、そして萩原は力が抜けたように穏やかな表情を浮かべる。
守られるような安心するようなその音色に全員が前方を凝視する。
「この先に祀られている神様の話はあの人が一番よく知ってるからあの人に聞くといいよ。」
気を取り直したように歩きだした2人の後ろを人間達はついていこうと足を踏みだした瞬間、出口の見えないような楓林が一気に開けた。
あまりの光景に息を飲む人々の目の前には一際大きく美しい楓の木と廃れきった社がそびえ立っていた。
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吹雪(プロフ) - コメント感謝しますm(__)m返信、更新ともに遅れて申し訳ないです。これからもよろしくお願いします! (2018年10月15日 10時) (レス) id: 4e2a82a17c (このIDを非表示/違反報告)
泉 - とても面白いです!更新楽しみにしています(^O^) (2018年10月8日 15時) (レス) id: 43f343ee39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吹雪 燐 | 作成日時:2018年10月2日 20時