28.ふゆぞさびしさ ページ34
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ゴッ…
鈍い音を立て千早が倒れ込む。
太一「あっ、寝た。」
A「千早ー、まだ次あるよーっ。」
肉まん「あっ、かなちゃん?!」
珍しく和装にそぐわぬ慌ただしさで
畳の上を走り入るかなちゃん。
奏「机くんっ!」
遠慮がちな面持ちで詰まる机くんを
かなちゃんがひしっと取り捕まえると、
どうにも逃げる余地を無くし
机「あっ…あわわ。」
と、しどろもどろに声を上げた。
奏「逃がしませんよ、帰しませんよ。
なんですか、帯ほどこうとして!
直しますからちゃんと立って!もう。」
机くんの袴を整え、
西高の選手達が涙に咽ぶ姿を見つめながら
かなちゃんが言う。
奏「……気がついてましたか?」
机「え?」
奏「ここにいる人達の足の甲、
みんな皮膚が硬くなってタコになってる。
畳の上で何年も正座をしてきた足です。」
心ならずも意識に上らなかったこと。
奏「私達が中々勝てないの、
当然じゃないですか。
タコができるまでがんばりましょうよ。」
かなちゃんの柔和な言葉は
机くんに励みを与え、
背中を押すには充分だった。
机「かなちゃん………
さっき、初勝利おめでとう……。」
ぐぅぐぅと寝息を立てる千早を置いて
私たちの周りに和やかな空気が蔓延る。
《 仲間にするなら
畳の上で努力し続けられるやつがいい 》
ー……
机「…ごめん………、みんなごめん………………。」
そう言って机くんが深々と頭を下げた。
各々の温情ある面持ちから、
やっと今
このチームの土台ができた気がする。
太一「…駒野……。」
肉まん「俺も…悪かったよ。」
A「机くん、これからもよろしくね。」
もう一度一緒にー……。
それぞれ想いを抱き挑んだ準決勝。
その心が机くんに届いて、
すごく嬉しくて身も心も軽くなる。
ひとまわり《チーム》として成長した
私たち瑞沢と、あの強豪校との決勝まで
あとわずか20分ー……。
《 第六章 〜完〜 》
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そら(プロフ) - 柚良さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!中々更新できてない現状ですが精一杯頑張ります♪今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月13日 19時) (レス) id: 6024975a6b (このIDを非表示/違反報告)
柚良 - そら様☆胸キュンですべてそっちのけで読み進めています!ありがとうございます!新、大好き〜これからも頑張ってください!楽しみに読み進めます! (2018年10月12日 20時) (レス) id: 0327a48dc5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 青龍 葵さん» コメント見落としてしまいました、すみません(・・;)これから先、まだまだお話続きますのでぜひお付き合いください(∩´∀`)∩ (2018年5月17日 19時) (レス) id: f89ab7fbfc (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - そらさん» いえいえ、こちらこそ!態々、変更して頂きありがとう御座います。いよいよ決勝戦、映画で既に結果を知っていますが小説にしか出せない夢主の心境や新との恋の進展など更新を楽しみにしてますwこれからも頑張って下さい(∩´∀`)∩ (2018年5月15日 3時) (レス) id: 8ae73065e1 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 青龍 葵さん» ご指摘頂いた部分、見直して変更してみました。いつもご意見ありがとうございます、今後もよろしくお願いします(∩´∀`)∩ (2018年5月14日 10時) (レス) id: f89ab7fbfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/aratasosa
作成日時:2018年4月17日 12時