28.女は真っ直ぐな瞳に弱い ページ28
エスコートされるがままに連れて来られたのは、どう見てもお高そうなレストランだった。
夜景まで綺麗。何ここ。何処ここ。本当に江戸か?
まるで違う時代にタイムスリップしたような錯覚に陥る。
正面に座る草間さんは楽しそうに微笑みを浮かべている。何がそんなに楽しいんですか、なんて訊けるような間柄ではない。
これが沖田さんだったら、すぐに訊けるどころか冗談交じりの返事だって出来るのに────いや、そもそも沖田さんはあんなふうに邪気のない笑顔は出来ない。
前提条件が間違っていた。
「この間────初対面のときは、大変失礼致しました。不躾なことを言いまして」
「ああ、いや、そんな、気にしてませんし」
「全く眼中に無いというのも、少し
「全く、ってことではない、です、けど、ね?」
「ふふふ、突然"自分との子供を産んでくれ"だなんて言い出して、変な人だと思われても仕方ありませんから」
……それはまあ、沖田さんも言っていたことだけれども。
とは口に出さず。
「悪い意味で、でしょうが、おかげで僕のことは印象には残ったんじゃないですか?」
「…ええ、そりゃもう、強烈に」
「でしょうね。けれどそれでも、僕は貴女の記憶に残れることが嬉しいんですよ」
100点満点中500点の返事をされている、と直感的に感じた。
普通の男ならきっとこんなことは言えない。山崎さんなんて、恐らく天と地の差くらいあるだろう。
というか、うちの真選組にはこんなタイプはいないから、どうしても私の返事がぎこちないものになってしまう。
連中は、顔が
それでも温かみに溢れた、いい男たちだけれど。
「僕も先走りすぎました。ですがそんな僕に、Aさんは"お友達からなら"と仰って下さいましたよね」
「そう…ですね」
「あれ、とても嬉しかったんですよ。何せ後で冷静に考え直したとき、どう考えても不審者じゃないですか、僕。けれどAさんは優しい言葉を掛けて下さった」
「……草間さんは私のことを大袈裟に過大評価しすぎです」
「いいえ、貴女にとっては大袈裟でも、僕にとっては大切な感情です」
真っ直ぐな視線ではっきりと言われてしまえば、否が応でもどきりとしてしまうのが悔しいところで。
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時