25.王子登場? ページ25
────翌日、真選組としての勤めを少し早めに切り上げて、指定された時刻の10分前に屯所の前で待っていた。
夏も終わり頃とは言えど、まだ日は長い。ひとりで待てますよ、と言ったにも、沖田さんは私の隣を離れようとしない。
「
と言われてしまえば、反論の余地もない。
確かに私も、草間さんがどういう意図でああいう文面を送ってきたのか気になる。
とりあえず文面を文面通り受け取って、いつも通りのラフな私服に身を包んでいる。
横に立つ沖田さんは未だ隊服のままだから、ボディーガードのようにも見えなくなくて、小さく笑ってしまう。
「何笑ってんでィ」
「いえ、別に」
じろり、と横目で睨まれるのを笑って受け流す。
腕時計をちらりと確認する。約束の時間まであと3分。
「……もしこれで、ただのからかいのお返事だったとしたら、沖田さんが夕食連れてってくださいね」
「…………言うじゃねェか。草間の坊ちゃんよりよっぽどお前ェを楽しませてやるよ」
「ふふ」
悪戯っぽく、楽しげに笑う沖田さんを横目に、車の音が近づいてくるのを感じ取った。
こっちに向かってくるのかな、なんて考えていると。
「……沖田さん、ああいうの、なんて言うんでしたっけ」
「ダックスフンドみたいな車のことか」
「そうです」
「そりゃお前ェ、リムジンだろ」
「リムジンですよね」
「……。」
「……。」
黒い、ダックスフンドのような車は間違いなく私たちの前に止まる。
開いた扉から出てきたのは草間さんだったが、その恰好に驚愕する。
「な、なな……」
「Aさん、お久しぶりです。先日は大変お世話になりました」
にこやかに私の手を握る草間さんは、360度、頭から足の先まで完璧にドレスコードされていて。
ラフな恰好の私と並ぶと、格差がドッと押し寄せてくる。
あまり、こういうのは気にした事がなかったけれど、さすがに気になるだろう、これは。
「お待たせして申し訳ありません。さ、行きましょうか」
「ちょ、あの、さすがにそんな、草間さんと今の私が並ぶのはちょっと、」
「ああ、でしたら問題ありません。これから、お姫様にしてあげますよ」
「……はい?」
「は?」
困惑した私と、不審がる沖田さんの声が重なる。
草間さんは沖田さんの方を振り向くと、にこりと微笑んだ。
「お見送りありがとうございます、
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時