24.善は急げ？急ぎすぎ！ ページ24
「いつまでも今の立ち位置に甘えてるからこうなンだ」
「……うっせ、土方さんには分かりやせんよ」
嫌味ったらしい言葉に、ケッと唾を吐きかけるような動作で応える。
行く宛もなく辺りに燻る煙はまるで俺の心そのものを表しているように見えてしまって、いよいよ自分にも腹が立つ。
いやいや、まだ俺の方が優位だから。
草間なんてまだオトモダチですらねェから。
「……どーしててめェは本命にゃそう慎重で奥手なんだ。疑問で仕方ねェ」
「うるせェ土方死ね。」
これ以上相手するのが嫌になって、さっさとその場を後にする。背を向けた後も土方はにやりにやりと笑っていそうで、無性に腹が立った。
何が楽しいんだか。
「あ、沖田さん」
「……おう」
悩みの種。全ての原因。何もかもの原点。
俺が何年も何年も同じ想いを抱き続けて今に至る、そのお相手様。
「ザキから何か渡されなかったか」
「あ、知ってるんですか？草間さんからの手紙のこと」
「…さっき見かけただけでィ」
「だったら話は早いんですけど」
そしてAはばっ、と俺の顔の前に紙を広げる。
紙というか。
手紙。
誰の？
……言わずもがな。
「これ、どういうことだと思います？」
挑戦状のように突きつけられたそれに嫌々目を通す。Aが指さす一文、そこに書かれてあったのは、
『でしたら△△時に屯所までお迎えに上がります。なんの気負いもせず、いつも通りの恰好でお待ちください』
「……私、草間さんに夕食に誘われているんですけど、普通なら身だしなみに気を使うところじゃないですか」
「……まァな」
「気負いせず、いつも通り…とは。どういうことなんでしょう？」
「俺に訊かれても」
「うーん。そうだとは思ってました。でも沖田さんくらいにしか、言えなかったんで。」
へへ、と少し恥ずかしそうに笑うAに、さっきまでの苦悩だとか苛立ちは全部吹っ飛ぶ。
つくづく単純な男。
「そのまんまの意味で受け取ればいいんじゃね。着飾るな、いつも通りリラックス。」
「そうですね、ありがとうございます、沖田さん」
草間への怒りも吹っ飛びかけたチョロい俺の心だが、それにしてもひとつ言いたいことがありやすぜ、Aさん。
この約束の日、明日って、気が早ェにも程がねェか？
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乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ！総悟！違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (
レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でｷｭｯとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓ｷｭｯってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました･･･笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます！ (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木ノ嶋 | 作成日時：2018年8月17日 23時
