12.狙い撃ち砲撃 ページ12
過保護と独占欲は、元を辿れば同じ感情であると思う。
そう土方さんが唐突に切り出してくるものだから、気の抜けた「はあ、」なんて返事しか出てこなかった。
早々に面倒な話になるであろうことは薄々気づいていたので、さっさとこの場から退散してしまおうとそそくさと場を離れようとして。
「まァ聞け、総悟」
と呆気なく制止されてしまう。
めんどくせ、という感情を隠す気もさらさらないが、それに関して突っ込んでくるには、幾度となく同じようなやり取りを繰り返し続けている。
だから土方さんはそんな俺の態度に関しては何も言ってこなかった。
「彼奴はお前のこと、過保護なオニイチャンだと思ってる」
「彼奴、ってーのは」
「分かってるだろ」
ふう、と吐き出された煙草の煙に顔を歪める。
俺がめんどくさそうな表情を浮かべていても土方さんが何も言わないのと同様に、俺も土方さんの煙が鬱陶しいことを口には出さない。
「俺はお前ェのことを、独占欲丸出しのクソガキだと思ってる」
「はあ」
「つーことで冒頭の話になるが、要は俺が言いてェのは単純だ」
「構いすぎ」、と。
そうはっきりと口に出されたのは、今まで長らく道を共に歩んできて、もしかしたら初めてかもしれない。
「土方さんには関係ねェでしょう」
「手前ェからAに向けての矢印には、確かに俺は何の関係もねェが、それ以前に俺はお前たちの上司だ。」
「ははん、分かりやしたぜ土方さん。どーせ隊士たちに示しがつかねェだとか、クソくだらねェこと抜かすつもりでしょう」
「…まァそれにも一理あるが、それだけじゃねェ」
「と言うと?」
「真選組を嗅ぎまわってる奴がいる」
「……はァ、成程?」
これまためんどくさいことが起こっているもんだ、と独り言ちる。
これは土方さんの小言と同じくらい、めんどくさい。
「彼奴はウチの唯一の女で、言わば紅一点だからな」
「奴らの格好の的ってことですかィ」
「そういうこった」
今、監査にそいつ等のことを探らせてるから、まだ妙な行動を起こすなよ、と。
ばっちり釘を刺されてしまった。
「彼奴は一番隊の副隊長でさァ。俺がベタベタしてても不思議じゃねェでしょう」
「そういうネタが好きな輩もいンだよ」
「ああ、」
そっちか、と呟いて頬を掻く。
「まァでも彼奴は俺のなんで、何書かれても問題はありやせんけどね」
俺がそう言うと、土方さんは渋い顔をした。
472人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙愛 - 草間さんのセリフにグッときたがワイは負けん…はっ!総悟!違う私は一筋じゃぁ (2018年12月19日 18時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - 乙愛さん» コメントありがとうございます。良い意味でキュッとして頂けたら幸いです。物語が徐々に動き始めてきましたので、どうか今後も見守ってくれたら嬉しいです。 (2018年12月10日 22時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - なんか、心臓キュッってなりました。( ・∇・)きゅーん (2018年12月7日 22時) (レス) id: 89a184ea87 (このIDを非表示/違反報告)
木ノ嶋(プロフ) - アルハさん» 本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます。受験生なんですね…この作品で、少しでもアルハ様の応援が出来たらいいなと思っております。ありがとうございました。 (2018年11月28日 7時) (レス) id: 24579aa2d7 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 受験生の身でありながらついぶっ通しで読んでしまいました・・・笑上から下までタイプですありがとうございます。これからも応援してます! (2018年11月27日 16時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年8月17日 23時