82.人質経験ざっと2度目 ページ32
ズキズキと不調を訴える頭に無理やり起こされた。
目を覚ますと、身体が窮屈で、身動きが取れなくなっていた。
手元、それから足元がギチリと縄か何かで縛られていて、地面に転がされている。
「威勢のいい嬢ちゃんだなァ。なァ草間サン」
「……。」
眼球を動かせる範囲で現状況を確認する。
どうやら私達は、誰が見てもわかり切ったことに、囚われの身のようだった。
古びた、
草間さんは私と同様、手足を縛られていた。
草間さんは、今までに見たことの無いくらい緊迫した面持ちで。低い声で、中心人物と思わしき男に問う。
「……目的は」
「あー、俺らが金積まれて依頼されたのは、アンタをちょっくら入院レベルまで怪我させてくれってことだったんだけどよォ」
ニヤニヤとした笑みが、こちらに向けられる。
「まさか女連れだとは思ってなかったもんで。こっち嬲るのも悪くねェなァと思ってよ」
「……その人には手を出すな」
「手を出すか出さねェかはアンタによって決まんだよ、草間サン。所詮俺らは雇われただけだ。だから俺らは、どうすりゃ女を嬲りつつ、もっと報酬を頂けるかってのを考えたのさ」
ケタケタと広がる笑いに虫唾が走る。
私たちを囲う男たちは、ざっと見て6、7人程度だった。
「簡単な話よォ。つまりは雇い主様に訊けば良いのさ。どうすりゃもっと報酬の羽振りが良くなるのか、ってな」
私の近くに立つ男のひとりが、私をじろじろと見下ろしている。
気持ち悪くて、眉を顰めた。
「俺らはなーんも詳しい話は聞かされちゃいねェが…どうやら雇い主様は、アンタの会社から契約を打ち切られ、底辺を這いずるくれェに落ちぶれたらしい。要は復讐なんだろうなァ、知らねェけど」
「……本人を、その雇い主とやらを呼べ。直接顔を突き合わせないと、この件は解決なんかしないんだろう」
「そう慌てんなよ、草間サン。あんまり口が悪いとお嬢ちゃんがどうなるかわかったもんじゃないぜ?」
その言葉を合図のように、私の近くに立っていた男が急にしゃがみこむと、私の髪を掴んで引き上げた。
急な体制にぐう、と喉を鳴らす。
「やめろ!!」
「だァから、やめるかどーかはアンタの態度次第なんだって」
けらりけらりと笑う相手の男はもはや楽しんですらあるようだった。
キッと睨みつけたところで、口元の笑みが揺らぐことはない。
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乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時