53.調査班、プチ出動 ページ3
「看板娘らしいですよ。新しくアルバイトで入ってきたとか。」
「……へえ」
「ちょっと、聞いてます?A副隊長。」
「聞いてますよ…聞いてますから、もう少しだけ優しくしてください、山崎さん」
全く、自分から言ってきておいて…と思うも口にしない。
そう言い出してきたときのAちゃんは見たことないくらい、なんというか、落ち込んでたというか。
元気と笑顔が何よりも取り柄の彼女が、こんなに元気がない姿を局長や副長、沖田隊長以外の、寄りにもよって俺に見せてくるのだから、何かあったのだろう。
うーん、と頭を捻る。
『……山崎さん、ちょっと、お願い事頼まれて貰ってもいいですか』
やけに苦しそうな顔をするものだから、断れるはずもない。
我らが紅一点にこんな顔をさせるのは、一体誰なのだろう。
うちのドSなのか、噂の坊なのか。
はたまた全く見知らぬ人物なのか。
『あの、よく行く団子屋さんに、見慣れない顔があったんですけど、誰だかご存知ですか』
よく行く団子屋…?と考えて、はたと思いつく。
あえて"誰が"よく行く団子屋なのか、言うのを避けたのだ、彼女は。
(…何やらかしちゃったんですかねえ、沖田隊長は)
「俺はそもそもあんまり行きませんから知らないですけど…調べた方がいいですか、いいですよね」
「……お願いします」
その頷きの、何と覇気のないことか。
心配半分、興味半分で、彼女に頼まれたことを調べる。
その結果、冒頭の台詞へと戻る。
「ドジで有名なんですって。」
「……ドジ」
「顔も可愛いもんだから、なかなかお客には評判みたいですね」
「……」
ほら、その顔。
自分で調べろって言っておいて、そんなふうに傷ついた顔をする。
(……はあ、厄介だ)
どっちもどっちだ。
「もー、何かあったんですか。俺で良ければ聞きますけど」
「…内緒にできます?」
「当たり前じゃないですか、俺は監察ですよ。山崎と言えば監察、監察と言えば山崎なんですから。」
「やっぱり大丈夫です」
「何で!!?もしかして今のが原因で!?酷くないですか?!」
俺がショックを受けていると、Aちゃんは自分で自分の頬をぱしん、と叩いた。
「もう大丈夫です。山崎さん、ありがとうございました」
すっく、と立ち上がり、この場を後にしようとする背中に声をかける。
「俺で良ければ、話聞きますからね」
「……ありがとうございます。」
その笑顔は、全快には遠い。
516人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
乙愛 - 吉沢亮さん、良すぎですよね……。ほんと、沖田さん…。現在1番好きな役者さんです。 (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
乙愛 - お疲れ様でした!最後の写真みてみたいです…/// (2019年2月11日 10時) (レス) id: 6dafc5383a (このIDを非表示/違反報告)
ののこ(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしていました。終わってしまって寂しさもありますが、素敵な小説に出会えて良かったです。ありがとうございました! (2019年2月10日 1時) (レス) id: c2027c837f (このIDを非表示/違反報告)
sachoco(プロフ) - とても素敵な作品に出会えて幸せでした。ハッピーエンドでとても嬉しかったですし、完結した寂しさの反動も大きく、それ程この小説にハマっていたのだと思います。本当にお疲れ様でした!(実写版沖田さん…本当に完璧と言わざるを得ない程素敵だと私も思いました!) (2019年2月8日 19時) (レス) id: 6ffe0b9ea7 (このIDを非表示/違反報告)
春先未(プロフ) - お疲れ様でした…本当に面白く更新を楽しみにしていた作品だったので終わってしまい寂しさ半分、素敵な作品と出会えたという幸せな気持ち半分です。とても素敵な作品をありがとうございましたm(_ _)m (2019年2月8日 18時) (レス) id: 948ea5509c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木ノ嶋 | 作成日時:2018年12月14日 8時