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35 sideJ ページ36

『……早く、おいで』




…また、だ。


同じ声、同じ台詞。


何をそんなに焦ってるんだ?

早く来いってどこに行けばいいんだ?


なあ、教えてよ。





悲しそうな声がただ真っ暗な空間に響く。

この前は月夜みたいだったけど
今回は明るさが全くない。


『早く……早く』






「……く、…潤くん」



頭に響く『早く』とは違う声がした。


ゆさゆさと誰かに揺さぶられる。


「……?」


「あっ、起きた起きた。潤くんご飯ですよ」


「かずぅ……?なんでここにいるの…?」


「寝ぼけてますね。そんな潤くんもいいですけど」



ふわふわした頭の意識がだんだんはっきり
してきてさっきのは夢だったのだと理解する。


そして自分が今日からこの家に住むことになったのも思いだす。


…そうだ。
確かここの頭首の大野さんに会って、
それで俺だけ部屋から出されて、
和たちを待ってて…


ついうとうとして寝てしまったのか。


俺の中で全てがようやくつながった。




「相葉さんの料理ですから心して食べた方がいいですよ」


「なっ!ニノ!俺、中華は得意なんだから!」


和が俺の前にお皿を置いてくれる。
そこにはほかほかと湯気を立てて美味しそうな麻婆豆腐が盛られていた。


「うまそ……」


「雅紀は中華だけはうまいから大丈夫だと思うよ」


「しょーちゃんまでそんなこと!」


櫻井さんの言うとおり
相葉さんの作った麻婆豆腐はうまかった。


「明日からは潤くんの料理食べれるんだよね。
楽しみだなぁー」



和がめっちゃ期待してるから
明日から頑張らないとなぁ…






「そういえば今回の引っ越しって親御さんの了解とか大丈夫だった?」


夕飯を食べ終えてのんびりしていたとき
櫻井さんが聞いてきた。


「…あ、俺の両親俺が小さい頃に亡くなってて。
姉ちゃんには電話しました」


しーん、と流れる気まずい空気。


「ほんと、俺がちっちゃい時のことだったんで
全然覚えてないんで大丈夫っていうか、
姉ちゃんもいたし寂しいとかなかったんで!」


俺、必死すぎ。


でもほんとのことだしギクシャクするのも嫌だから。


「…そっか。ありがとう」


櫻井さんは微笑んでくれた。

良かった、気まずくならなくて。


ほっとしていた俺の横で相葉さんが小さく
「ほんとにそうなんだ…」と呟いていたことに
俺は全く気づかなかった。

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作者名:智帆 | 作成日時:2013年6月22日 9時

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