32 sideA ページ33
大ちゃんの絶望的な言葉を
聞いた瞬間、ニノが崩れ落ちた。
「ニノっ!」
俺が慌てて駆け寄って抱き起こすと
ニノの身体はぶるぶると震えていて
その瞳にはチラチラと紫色の影が見え隠れしている。
……白虎と戦ってるんだね、ニノ。
俺たちは感情が高ぶると
四神の姿になってしまうことがある。
ニノは今、白虎に変身してしまわないように
必死で自分の中の白虎を抑えてる。
俺は力が弱くてそういうことはできないけど…
ニノと翔ちゃんは力が強いから大丈夫だと思う。
俺もびっくりした。
まさか潤くんが青龍だなんて。
信じたくないけど大ちゃんが言うことなら
本当なんだろう。
大ちゃんは俺らの神様だから。
そういうのが分かるんだって。
「別に白虎になってもいいよ?和」
大ちゃんが震えの止まらないニノを見て
冷たく言い放つ。
「……っ!」
俺の腕の中のニノがその言葉に
ぶるっと大きく震える。
「ニノ、大丈夫。今は我慢して。
リビングで潤くんが俺らのこと待ってるよ?」
“潤くん”と言う言葉にニノは反応して呼吸を整え始めた。
…良かった。
随分落ち着いてきたみたいだ。
俺がほっとしていると翔ちゃんが近づいてきて
ニノの目を覗き込んだ。
「…っ、大丈夫です、翔さん」
白虎を封じ込めるのに力をいっぱい
使ったみたいで弱々しい声だったけど
ニノは自分の力で立ち上がった。
「相葉さんも…っ、ありがとうございました」
そっぽ向いて言うニノ。
全く…照れ屋さんなんだから!
「大野さん、潤くんが“覚醒”するまでは
絶対に何もしないでください。絶対に」
ニノの力強い声が響く。
「……当たり前でしょ。そんなの分かってるよ」
「それならいいです」
大ちゃんがニノのことを冷たい目で
睨んでるのを気にする様子もなく、
ニノはそのまま部屋を出て行った。
その背中がすごく大きく、
頼もしく見えたのは本人にも内緒だ。
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作者名:智帆 | 作成日時:2013年6月22日 9時