お兄ちゃんと私 (ページ19)

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初めて知ったこと2 ページ19

和也『最初にパニックのこと話しておけばよかったですね。』

翔『なぁにの』

和也『はい？』

翔『Aちゃんって自分がパニック起こしたことって覚えてる？』

和也『あぁーほとんど覚えてませんよ。逃げようと必死で覚えてはいないみたいです。』

翔『そうなんだ』

和也『でも今日は珍しく落ち着いてましたね、翔さんいてくれたからかな．．．』

翔『普段はもっと酷い？』

和也『酷いですよ、前なんて裸足で検査室飛び出して売店まで逃げてましたから(笑)』

翔『そんなに．．．』

和也『痛みがあるから嫌なんでしょうね、でも昔は脳脊髄液検査も嫌がって逃げてましたね．．．』

翔『脊髄？』

和也『腰のとこに針刺して髄液を取る検査なんですけど背中に太めの針刺すからすごく痛いらしいんですよ。それを３歳から経験してるからいまは慣れてて麻酔の注射でも平然としてますけどね(笑)』

翔『全然知らなかった、Aちゃんがそんなに大変だったなんて．．．』

和也『確かにできないことも小さいころは多かったし色々と心配な面はあったけどいまは進行も進んでないからひとまず安心かな、それをいいことにこいつはやりたい放題だけど(笑)』
なんていいながらまだ眠っているAちゃんを待合室のソファーに寝かすにの

翔『これって聞いていいのかわからないけどさ、Aちゃんってなんの病気なの？』

和也『あれ？言ってなかったっけ？多発性硬化症。もともと生まれた時から身体弱くてさ．．．』

翔『多発性硬化症．．．それって確か難病指定の．．．』

和也『そうですそうです。まだこいつは初期の段階で見つかって治療したから進行は止まってるけど．．．でもやっぱり体調崩すと心配だし身体痛いとかなんかおかしいなって感じたらすぐ病院』

翔『大変だな．．．』

和也『一番大変なのはこいつ(笑)我が儘ばっかだけど一番頑張ってるのは紛れもなくAだからさ。』

翔『そうだよね．．．』

和也『こつさ、中学の時病気のことでいじめられたんだよね。でもずっと俺ら家族に黙っててさ．．．いじめられてたってわかったのは卒業式の日でさ。俺のことも言われてたらしくて、おにぃが悲しむから言えなかったって言われて．．．こいつの兄としてどうなんだろうって悩んだりした』

翔『お前なんで相談しないんだよ．．．馬鹿か』