白銀の彼女は能力者 2〈stpr〉

51. もうこれ以上 ページ6

A side





具現化させた剣を構え、シエナを睨む。


シ「そんな怖い顔しないでちょうだい、貴女には簡単に死んでもらっては困るの」





.









『….それはどういう意味ですか』









.









シ「そのままよ。貴女は良い実験素材になりそうだもの」


『実験………？』









.









シ「ええ、貴女も知ってる通り、あたしの能力は《思念操作》。記憶や感情を操る能力よ」


『知っていますが、それが、なにか』









.









シ「この能力、死んだ人間だけじゃなく、生きた人間にも使えないかと思って色々試してきたの。でもダメだった。みんな弱すぎるのよ」


シ「実験の途中でみんな死んじゃうの。役に立たない駒達だった…だから、普通の駒よりも強い獣人たちで実験しようとしたのよ」


『今回の騒動はそれが原因…』


シ「そうよ？けど貴女たちが邪魔をしたの。折角良いデータが取れそうだったのに」









.









『……だから、今度は私を？』









.









シ「ええ。獣人の癖に超音波に影響されなかった…とすれば、よっぽど強い力を持っているのは当然。そんな貴女を操れば、この国なんて一瞬で破壊できるわ！」



『…………』









.









高笑いするシエナとの距離を一瞬で詰め斬りかかれば、それを素手で受け止める彼女。









.









.









『……私はあのとき、大切な人を殺した』


剣を持っていない左手で、もう一つ魔法を発動させる。









.









.









『謝りたくても謝れない、会うことも話すことも出来ない』


《具現化》──《精霊・炎(サラマンダー)》──









.









.









『だから私は、もう……』


炎を纏った私の腕が、シエナを貫く。









.









シ「なっ……？！」









.









.









.









『もうこれ以上、この能力に振り回される人生なんて嫌だ』









.









.









.









『もうこれ以上...大切な人を一人だって失いたくないんだ！！』









.

52. 一方その頃→←50. 決意

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す