▽ ページ21
.
__放課後__
若林が山上と連絡を交換している様子を西園は渡り廊下の窓から見ていた。
『‥‥‥‥あの子どっかで‥‥』
なにかを思い出そうと考え込んでいた西園の背後に人影が。
「蘭」
『っ!?』
西園の右耳に囁くように声をかけたのは、明智だった。
西園は右耳を抑えながら明智から距離をとった。
『ビックリさせないでよ‥‥』
明智「油断してるからだろ」
明智は西園の横顔を見つめ、西園の視線の先を見る。
明智「‥‥若林」
原田達に囲まれる若林が西園の視線の先にいたのだ。
『‥‥』
明智「‥‥おい」
ダンッ!と若林への視線を切るように、窓に手をついた明智。
『っえ、なに』
明智「帰るぞ」
『‥‥うん』
明智の一歩後ろを歩く西園。
明智「何考えてんだよ」
『いや‥‥どうしても思い出せない人がいて』
明智「‥‥」
「まぁ明智には関係ない人だから」と一言。
自分よりも前を歩きだした西園を明智は__。
明智「なぁ西園。」
『‥‥なに?』
明智「お前もやろうぜ。賭け」
『‥‥は?』
明智「いい経験になりそうじゃん?」
右の口角を上げ、ニヤリとする明智に西園は冷たい目で答えた。
『‥‥言ったよね、やらないって。
そんなバカみたいな賭け、やってるだけ無駄。』
明智「‥‥」
西園の足音だけが響く住宅街。
明智「‥‥蘭」
普段の強気で余裕そうな明智から考えにくい、小さく寂しい声だった。
.
2742人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねむ | 作成日時:2019年5月12日 14時