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高校に上がってからも、龍斗くんと一緒に下校する日々は続いている。
大抵の場合、龍斗くんはわざわざ女子部の私の教室まで出向いて来てくれる。
だから、高校に上がった初日や二日目は、クラスの子から「高橋さんって男子部の凄く格好良い転入生と付き合ってるの？」と何度か聞かれた。
内心嬉しく思う自分がいることに気付く度、心の中には罪悪感が塵となって溜まっていった。
龍斗くんに近づく度、その塵は風に舞い、彼の姿は見えなくなってしまう。
結局私も、クラスにいる「カレシが欲しい」が口癖になっている子たちと同じなのだ。
「カレシ」という武器を手にしたいだけ。
そんな自分の汚さをかき消すために、人から同じ質問をされる度「親戚の子」という、龍斗くんが転入してくる際に家族で決めた嘘を正直に告げた。
そうすることで、やっと龍斗くんの姿をもう一度確かめることが出来た。
家に帰ると、龍斗くんは決まって私の部屋に来るようになった。
一緒に眠ったあの夜以来、私の部屋に入ることへの抵抗が薄れたらしい。
あるいは、私が龍斗くんを受け入れられるようになったのかもしれない。
とにかく、あの夜は私と龍斗くんの関係を、ほんの少しだけ柔くさせた。
「Aちゃんのクラスって、もう委員会決めた？」
ベッドの上でハードカバーの新しい小説を読む私と、ミニテーブルに向かい物理の課題をさらさらと解いていく龍斗くん。
私たちは同じ空間にいても、何かを共有することはない。
それぞれが、それぞれのやりたいことをやる。
たまにこうして会話を交わすこともあるが、基本的にはただ、一緒にいるだけだ。
春の暖かな夕焼けは、誰に対しても平等に光を差し込む。
今日最後の光だ。
毎日それに包まれながら、私たちは同じ空間で違うことをする。
「決めたよ。部活にも生徒会にも入ってないんだからって、押し付けられちゃった」
「俺も同じこと言われてるんだよね」
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
