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ため息が一つ、二つと積み重なっていく。
そのたびに、嫌な予想がどんどん頭に浮かぶ。
例えば、優斗くんが大学進学と同時に家を出るとしても、あと1年ある。
その1年間、優斗くんはずっと龍斗くんと喧嘩し続けながら同じ部屋で暮らすのだろうか。
それとも母の部屋を龍斗くんに渡すのだろうか。
もし仮に母の部屋を渡したとして、優斗くんはどんな気持ちになるのだろうか。
その複雑な感情を一生抱き続けることになるのだろうか。
終わる気配のない連想ゲームに終止符を打ったのは、私の部屋の扉をこんこんとノックする音だった。
「お父さん？ 入ってきて良いよ」
「……違う、俺、龍斗」
予想外の来客。
龍斗くん。
扉を開けると、お風呂から出たばかりなのだろうか、濡れたままの頭にタオルを載せた姿で立っていた。
「どうしたの？」
「ちょっと、話があって」
「ベッドのところ、座って良いよ」
なんとかいつも通りを装って声をかける。
その甲斐あってか、龍斗くんは昼間と同じように無言でこくりと頷くと、リーフ柄の掛布団の上に音を立てず腰を落とした。
龍斗くんがうちに来てから、私は、いつもお風呂上りは部屋に閉じこもり、なるべく廊下やリビングには出ないようにしていた。
何故なら、お風呂から出た後の無防備な姿を龍斗くんにさらしたくなかったからだ。
人の身体は、一度お湯を通すと、か弱くなる。
柔らかくなった皮膚から、人の視線や心の動きが直に伝わってきたり、反対に、私の心の声も漏れ出てしまったりする気がする。
そんな状態で龍斗くんと顔を合わすなんて、絶対に無理。
私の身体の中には龍斗くんには悟られたくないことが沢山あるのに。
そう思ったから引きこもってばかりいたのだ。
しかし、まさか龍斗くんから訪ねてくるとは思ってもみなかった。
私も10センチほど空けて隣に座る。
ちらりと左隣を盗み見ると、まだ主張し始めたばかりであろう、控えめな喉仏が浮き沈みしていて、昼間に見るよりも何倍も素敵に思えた。
優斗くんも同じような、あるいはそれ以上に大人っぽく男らしい身体つきをしているはずなのに、受ける印象は全然違う。
全く違う血が流れているというそれだけで、人はこうも惹きつけられてしまうんだろうか。
「Aちゃんにお願いがあるんだけど」
「うん？」
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れお(プロフ) - 陽依さん» コメント有難うございます。そんな風に言っていただけて、本当に嬉しいです。ゆっくりですが更新していきますので宜しくお願い致します。 (2021年8月4日 0時) (
レス) id: 8293f3a179 (このIDを非表示/違反報告)
陽依(プロフ) - ほんとにこのお話大好きです！なんでとかはうまく言えないんですけど…これからも楽しみにしています！ (2021年8月2日 22時) (レス) id: 5f72745e3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れお | 作者ホームページ：https://peing.net/ja/reosndy
作成日時：2021年6月26日 21時
