wings (ページ2)

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この季節にはそぐわないフード付きのパーカーを頭までかぶりドアを開けると喫茶店ならではのカランコロンという音を耳にし、いつもの定位置

一番奥の窓際に座った

マスター「いらっしゃい。今日は？」

「…いつもので」

マスターが用意し始めるのを横目に目線を少しだけ上げた。必ずこの時間に流れるこの街のニュースは最近増えている謎の殺人事件について取り上げていた

意識を目の前に移すといつの間にか置かれていたコーヒー

角砂糖を2つ。シロップも入れる
ブラックコーヒーは飲めない。大人になっても舌だけは子どもらしい

コーヒーを二口ほど口に入れるといつも通り慌ただしくスーツを着た女性が駆け込んでくる。

ユノ「はあっ、こんにちは！唐揚げを2箱ください！」

マスター「いらっしゃい。もう出来てるよ持っていきな」

ユノ「わあいつもありがとうございますっ！頂きます！」

無意識に見ていたからかバチッと音が鳴るように合わさった視線

ユノ「こんにちは！今日も暑いですね〜熱中症にならないように気をつけてくださいね！」

「…どうも」

私のか細い声も聞こえるくらい耳がいいのか彼女は言葉とは裏腹に爽やかすぎるくらい笑顔を見せて去っていった。

マスター「物騒になったもんだこの街も」

「…」

マスター「あんたも気を付けなよ」

テレビを見てそう言ったのか私にその言葉をかけたのかはっきりは分からないがコーヒー代の650円を机に置いて喫茶店を後にした。

外に出るとどこを歩いても影が付いてくる

………ああ、鬱陶しい

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