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「章ちゃん」
ふたりのうち、右に座る睫毛の長い男が言った。
しょうちゃん。
わたしはとなりに立つ彼を見る。
「亮、お客さん」
「おん・・・いらっしゃい」
しょうちゃんと呼ばれた彼に、りょう、と呼ばれた男は、わたしを見るなりすっと立ち上がり、目を細めてちいさく笑った。
その、いとおしいものを見るようなまなざしに、わたしは戸惑った。
りょうさんはカウンターのなかに入り、棚からグラスをいくつか用意する。
「A、こっち」
しょうちゃんに手招きされ、背の高いスツールに腰を下ろした。
目の前に、りょうさんのつくってくれた新鮮なジュースが置かれ、わたしはそれをひとくち飲みこむ。
甘酸っぱくて、おいしい。
「自己紹介がまだやったな」
となりの席についたしょうちゃんが、カウンターに肘をついてこちらを見た。
「俺は章大。で、こっちが亮」
ミキサーを洗う亮さんは、よろしく、とつぶやく。
「章大さんと・・・亮さん」
「おん。そんで、あのひとがすばるくん」
「・・・・・」
ソファに座ったまま煙草を燻らせるひとみの大きな男は、黙って会釈をした。
わたしはふと、彼らが他の女性にもおなじようなことをしているのではないかと思った。
この場に漂う空気が、なんとなく親しみをにじませていたから。
でも、そんなことは訊きたくなかったし、訊こうとも思わなかった。
なんでもよかったのだ。
彼らが何者であろうと。
「余計なこと考えとる」
章大さんの手が頬に触れた。
わたしはうっとりとしてその顔を見上げた。
弧を描く厚い唇。
「約束通り、Aの欲しがってるもんあげるよ」
なにがええ?と______________
天使のように微笑むそれはきっとただの仮面で。
わたしが魅入られたのは、たぶん。
「・・・・・」
手を伸ばし、章大さんの首に両腕を回す。
彼は動こうとせず、わたしをじっと見つめたまま。
視界の隅に、3つのエレキギターが並んでいた。
赤、青、黄、それぞれ三色の。
「・・・ほんま、いけない子やな」
触れる直前で、彼が言った。
わたしはその言葉ごと呑みこむように、美しい唇にキスをした。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» うわあああああココナッツさん!ありがとうございますわたしも好きです(T T) (2018年3月14日 18時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - うわああああべにさんっ!うわああああ…(ワケわからなくてごめんなさい、汗)…好きですっ! (2018年3月14日 15時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べに | 作成日時:2018年3月13日 0時