闇の園、蜜の味 ページ19
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「どうかしましたか?」
声をかけてきた女性は、わたしの顔を見るなり迷惑そうに眉を動かした。
それもそうかもしれない。
こんなところに突っ立っていられるなんて、店からしたらすごく迷惑だろう。
客でもないのに。
「いえ・・・」
わたしが首を振ると、女性はあいまいにうなずいて目の前のスナックに消えていく。
わたしはすぐそこに伸びる、薄暗い階段をじっと見つめた。
地下へと続いている階段。
廃れたビル街のなかの、なんの変哲もないそれ。
だけど、その先の鉄扉の向こう側が空っぽであることを、わたしは知っている。
数年前にはここに、club Tonと刻まれたフロアの案内図があったはずだった。
今ではもう、ただの廃墟と化している。
「・・・・・」
しかし置き去りになど到底できず、なにもかもあざやかに記憶したまま______
あとすこしで約束の五年が経つ。
未だにわからなくなるのだ。
コーヒーを飲む唇。
空気を震わすようなギターの音色。
青いピック。なぞる指。
あれは夢だったのだろうか、と。
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べに(プロフ) - ココナッツさん» うわあああああココナッツさん!ありがとうございますわたしも好きです(T T) (2018年3月14日 18時) (レス) id: c68c31e30a (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - うわああああべにさんっ!うわああああ…(ワケわからなくてごめんなさい、汗)…好きですっ! (2018年3月14日 15時) (レス) id: d0c3580366 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べに | 作成日時:2018年3月13日 0時