第三十九話 ページ39
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(直接的な描写はありませんが、捉えられる表現を含みますのでご注意ください!)
凄い、初めて見た。
こんなカッコ良かったんだ。
あまり顔に出ないけど、凄く生き生きしてるって分かる。
わ! 今の落ちると思ったのに拾った‼
気が付けば見入ってしまっていた。
凄いなあVリーグ。ハマりそう、次から録画しよっと。
そういえば侑君静かだな。
「凄かったね侑君」
後ろを振り返ると、侑君はベッドの上で私に背中を向けて寝転がっていた。
寝てる⁇
呼び掛けても返事がない。
「もしもーし」
ベッドに乗り上げて顔を覗き込む。
「寝てる」
「寝てないじゃん」
「何の嘘⁇」と可笑しくて笑っていると、視界が180度回った。
侑君が私を見下ろしてる。急すぎてびっくりした。
押し倒した本人は何故か悲しそうな表情。
「どうしたの?」
「嫉妬した」
「え、何に?」
「…しよ」
私の質問に答えず、不機嫌な理由も分からぬままキスをされた。
どうしたのって聞きたいのに、言わせないぞと言わんばかりに長くて深いキスで阻止される。
その後、いつもよりやたらと密度の濃い時間を過ごした。
途中で疲れてしまって「もう無理」って言おうとしたけど、私の名前を呼ぶ侑君の声が切なげで結局気圧されてしまったのだ。
「スミマセンデシタ…」
結果、腰が痛すぎて起き上がれない。
なによりこの首の痕どうしよう…
文句の1つや2つ言ってやろうかと思ったけど、存外やってしまったと反省してる侑君を見てその気力も失せた。
「なにに嫉妬…不機嫌だったの」
「Aちゃんが分かってないなら言わん」
え、なんでそこは頑ななのよ。
「言えない⁇ 言いたくないの⁇」
「言いたくないから言えへん。」
なんじゃそりゃ。
まあ本当に言いたくないならそこを無理矢理追求しても仕方がないか。
それより
「気持ちは晴れたの?」
「だいぶと」
それならまあいっか。
何故侑君が急に静かになったのか、何に嫉妬したのか、不機嫌になった理由は後から知った。
もっと、もっと先の話になるけれど。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
