第二十七話 ページ27
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色とりどりの水風船が揺れている。
子供達に混ざり、輪っかを目掛けて引っ掛けた。
「あ‼ また落ちちゃった〜」
一瞬持ち上がった水ヨーヨーが、ぽちゃんとプールに落ちる。
「お姉ちゃん下手くそー‼」
「見て僕の1回で2つ取った‼」
悔しがっていると子供達が笑いながら馬鹿にしてくる。
今年で23になる私だけど、煽られてムキになる私もなかなか子供だと思う。
「すみませんもう1回やります‼」
「Aちゃん3回目やん貸してみ」
「………納得いかない。」
侑君の手には3個の水ヨーヨーがぶら下がってる。
ドヤ顔のその表情がなんとも憎たらしい。
「機嫌なおしてや〜ほら、Aちゃんの為に取ったんやで?」
嬉しそうだな侑君よ。
侑君が1回で3個も取った時、子供達が「すごーい‼」って言うのと同時に「お姉ちゃんやっぱり下手くそなんだね」って馬鹿にされたよ。
悔しい‼
「次は射的で勝負だ‼」
「勝負してたん俺ら⁉」
私の負けず嫌いが本領発揮して、射的の勝負を申し込んだ。
結果は私の勝ち‼
景品の猿の抱き付きバルーンを侑君の腕に抱きつかせて、今度は私がドヤ顔をきめてやる。
存外悔しそうな侑君。負けず嫌いはお互い様のようだ。
「まだ一勝一敗や‼ 次はスーパーボールすくいで勝負‼」
「望むところ‼」
気がついたらお互いの手には水ヨーヨー、抱き付きバルーン、スーパーボール、輪投げの景品のお菓子。
無我夢中になってしまった。
ほんとに子供みたい。
「はしゃぎすぎたな」
「はしゃぎすぎたね、ふふっははは」
「ふっふっふ」
「これどうすんの〜」とお互い顔を見合わせて笑い合う。
侑君といると本当に楽しい。
常に笑ってる気がする。
花火の打ち上げまで後30分のアナウンスが流れた。
座れる所探しに行こか、と侑君が再び私の手を引く。
なんだかもう付き合ってるみたいだな、なんて思ったりして。
恥ずかしいから言わないけど。
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作者名:林檎 | 作成日時:2020年6月19日 16時