第二話 ページ2
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「お前なんかあったの?」
飲食店で働く私。仕込みを終えてまかないのパスタを食べていると、向かいに座る同じ社員の黒尾が尋ねてきた。
なんで⁇ って聞き返せば、顔が怖い。と返ってくる。
「また喧嘩したのか? 彼氏君と」
「今は彼氏じゃない」
一昨日彼氏の…いや元彼の佐久早聖臣と別れた。
原因は小さなものだったが、私の散り積もりが爆発して、勢いで別れようって言ったのだ。
因みに言うと私達が別れたのはこれが初めてじゃない。
それを知る黒尾は気まずくなるどころか笑った。
「またかよ‼ 今年は何回別れんのかね、去年は確か4回だったっけ⁇」
いちいち数えるなよ、失礼な奴だなこのトサカ頭め。
でも実際付き合ってから6年間ヨリを戻して別れてを繰り返している。
周りからすれば「またか」って言われても無理はない。
でもムカついたからテーブルの下で黒尾の足を蹴ってやった。
「痛って‼ いやでもさ、毎度毎度別れるくせに何でまたヨリ戻すのよ」
「うるさいな、彼女がいない黒尾には分からない話よ」
「おま…、それは言っちゃあダメでしょ…」
地雷を踏まれてテンションがみるみる下がっていく。
流石に言い過ぎたかな⁇ ごめんね、悪いとは思ってる。反省はしていないけど。
「あ、もう時間だ。ほら早く食べないとお客さん来ちゃうよ」
食べ終わったお皿を洗って身なりを整える。
別れてから3日経っても、未だ喧嘩の余韻が抜けなくて暇さえあれば思い出し、その度に苛立って分かりやすく顔に出てしまう。
だから正直今はずっと仕事をしていたい。
あいつの事を考える暇を作りたくない。
「あー…新しい彼氏が欲しい」
ふと出た言葉は半分本音、半分嘘。
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作者名：林檎 | 作成日時：2020年6月19日 16時
