ナマコの呪い ページ27
ロッジに着くなり跡部さんは、ありがとうと一言伝えさっきの件をお詫びするかのように肩にポンと手を置き颯爽とロッジに戻って行ってしまった。
こっちに来る頃にはスコールは止んでいた。
あ、またジャージ返しそびれちゃった…
此処に来てから跡部さんのジャージにお世話になることが多い。
1度目は寝ている時に掛けてくれていて、2度目は……
勝手に思い出して急にまた恥ずかしくなり、テニスコートの近くにある雑木林の日陰で蹲っていた。
白のTシャツで来なければよかった…
？「嬢ちゃんどうしたんや、具合悪いんか？」
そういって私の隣に座ったのは忍足さんだ。
私が具合悪いと思って気を使ってくれているのか、忍足さんは私の顔を覗き込んで様子を確認してくれているが……
近い
「き、休憩です、近いです忍足さん」
忍足「なんや照れとるんか、嬢ちゃん可愛いな〜」
出た、害悪眼鏡先輩の得意技。
私は忍足さんの距離感や空気が未だに掴めずにいる。すぐからかわれるということは理解しているつもりなのだが、警戒心MAX越えて限界突破しても中々対処が出来ない
忍足「誰が害悪眼鏡先輩や？」
私の顎を掴んで自分の方向に顔を向ける。
これは、少女漫画で言う…顎クイ。
どうしてこんなにもドキドキしないのであろうか。無論。からかわれている事が分かるからだ。
いや、ってか害悪眼鏡先輩って心の中で呼んだの何でバレたの。
「そ、そんな事思ってないです」
忍足「声に出とったで」
「嘘！？」
忍足「それは思っとった反応でいいんやな？嬢ちゃん」
「…」
忍足「アカンで嬢ちゃん、先輩にそんな口きいたら」
あっさりノックアウト。
この人は多分尋問に向いているだろう。半分詰問だこんなの。
忍足「嬢ちゃんどうして跡部のジャージ着てるん？」
「え、こっこれは、えっ…とー。」
先程の事を思い出してしまった。せっかく忘れかけていたのに。顔がみるみる赤くなる私を見て忍足さんは更に追い打ちをかける
忍足「跡部と何かあったんか？」
いきなり耳打ちで聞いてこられ驚いてしまい体が思わずﾋﾞｸﾘと動く。
「な、なにもﾅｲﾃﾞｽ」
忍足「目が泳いでるで嬢ちゃん。さっきのスコールで濡れて…」
忍足さんが何かを言い切る前に私は素早く立ち上がり、食堂の方向に向かって一直線に走り去る。
去り際に…
「ナマコの呪いですから！！！！！」
周りにいた人に奇怪な目で見られた事は言うまでもなかった______
忍足(ナマコの呪いてなんや？)
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
