探索・・・4 ページ26
跡部「何かあるのか？」
「跡部さん、居ました」
私が先程塗った日焼け止めを落としてまで探していたヤツそれは
「ナマコです」
跡部「今すぐ海に戻してやれ」
「跡部さんも探してくださいナマコ」
ｸﾞｯと押し負けた跡部さんは仕方なくジャージの裾を捲り海に入る。
跡部「何で俺様がナマコの為に海に入るんだ」
「ナマコって触るとすっごいパンパンに膨らんで可愛いんですよ、なんで膨らむかはよく分からないんですけど」
跡部「変わってんなお前は」
「綺麗な貝殻沢山落ちてますね」
跡部「食べるんじゃねぇぞ」
「私を何だと思ってるんですか」
いつの間にか2人で見つけたナマコが集まり、私の近くにナマコの山が完成していた。
水族館では絶対見れない絶景で心を踊らせていたが、
跡部「そろそろ合宿所に戻るぞ」
もう少しナマコを触っていたいという気持ちだったが、探索も時間に限りがある為、渋々諦めた。
ナマコを1匹1匹上手い感じにバラけさせ、砂浜に戻る。
出発しようと思ったときに事件は起きた。
辺りからザーーっと風が吹き、同時にスコールが起きる。
森を抜けた時はすごく綺麗に腫れていて、海も太陽の光でキラキラしていたのだが、その姿は1ミリもなく分厚い雲が海を覆っていた。
跡部「雷はないみてぇだな。一旦森に入るぞ」
跡部さんは近場の森に逃げ込む。恐らくさっき出てきた森の近くだ。森に入った途端スコールは木々に遮られ、森の中に殆ど雨は入ってこなかった。
跡部「スコールか」
「ここまでガラッと天気が変わると思いませんでした。呑気にナマコ探し何かしていてすみません」
跡部「いい気分転換だったから気にするな。この森を通って合宿所に戻るぞ。あと…」
跡部さんは私を見ていきなり上着を脱ぎ、風邪ひくから着てろと言い私に渡す。
「上着濡らしてしまったら悪いので大丈夫です」
私のTシャツはかなり濡れていたが、気温が暖かいためそこまで寒いとは感じなかった、濡れた服の上から着るのも申し訳なく断ったのだが、次の一言で黙って借りる羽目になる。
跡部「いや、今回は黙って着ておけ。服の下が見られたくないならな」
「すみません、お借りします」
きっと私の顔はりんごより真っ赤だったであろう
跡部「…っ」
跡部さんは手で顔を覆ってそっぽ向いていた。
横を向いる跡部さんの耳はほんのり赤く染っていた。
お互いかなりの恥ずかしさからか、帰りの道中は少しよそよそしくなってしまったのは言うまでもない。
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作者名：あぽろろろろろ | 作成日時：2020年12月2日 3時
