A piece of cake!!【宇髄天元】

That’s that. ページ16

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憂鬱な平日の再スタートはトラブル続きで、宇髄からの誘いに応えられないまま、バタバタと週の後半へと差し掛かっていた。


合間を縫って何度かランチに行ったり、夜電話したりはあったものの、ろくに恋愛ごっこを楽しめずに時間だけが過ぎていた。


相変わらず、“好き”という感情は難しい。


客観的に、惚れた時点で判定が下りるような機能が脳内に備わっていれば良いのに。


元々嫌いなところなど無い相手に対して、それが恋愛感情なのかそうでないのかを判断するのは、私にとっては簡単ではなかった。




月のモノは、今日で無事終えた。


わざわざ報告するまでもないから、宇髄にはまだ言わない。
何より、不快なストレスから解放された喜びの方が今は大きい。



軽い足取りで外出先から会社へ戻る。



ビルの正面エントランスを抜けて、エレベーターの方へ歩いていた時だった。




走る足音に振り返れば、向かって来たのは宇髄だった。



『そんなに急いでどうし……』



駆け抜けたサンダルウッドの香りが、私を掠めて通り過ぎた。







彼が向かって来た先は、私ではなかった。







呆然と眺めた先には、スラリと背の高い女性。

受付嬢の女の子だ。


退勤後なのか、綺麗に巻かれたロングヘアを靡かせて、トップスのニットと同じ色をした真紅のピンヒールの音が、人気がまばらなエントランスに木霊する。



受付嬢の手を引いて宇髄は、外へと歩いて行く。

その時、受付嬢が私に向かって少し、笑ったのは気のせいだったのか、よく分からない。



宇髄と引けを取らない派手な容姿。
久々に宇髄の横に女の子がいるのを見た。








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