6話 ページ6
けれど、しばらくして、ヒタヒタと誰かが後ろについてきているのに気づいた。
｢･･･････｣
さっきの恐怖がまだ全然身体に残っていたせいか、身体が嫌な風にしか捉えられない。
･･････まさかさっきの人がつけてきている？
辺りはまだ夕方だけど、今は冬で、その上雨天のせいで、もう夜のように暗かった。
真っ黒い絵の具をパレットいっぱいに塗り込めたような景色。
擦れ違う車はいずれもヘッドライトをつけて走っていた。
私が立ち止まると、背後の人も立ち止まったようだった。追い抜かさない。
ぞっとした。
もうすぐいつも行く大悟のバイト先であるコンビニが見えてくる。
そこに入ろうと思った。大悟がいれば匿って貰える。
ちょっと安堵して、私は相手を確認しようと再び立ち止まり、ゆっくりと後ろを振り返った。
するとそこには、傘をささずに、フードを被った男の人が立っていた。
私が止まったら、やっぱりその人も止まって、じっとしている。
「うぁ･･････」
私はあまりの怪しさに、変な声が漏れ出た。
叫び出したい気持ちがわき上がってくる。
一瞬は堪えたけれど、すぐに我慢が出来なくなって、傘を放り出して走り出した。
激しい雨に、一瞬で身体がずぶ濡れになる。
でも構っていられなかった。
嫌だ！ 怖い怖い怖い！
蜘の糸を見つけた心地でコンビニエンスストアに飛び込もうとしたら、店の入口寸前で肩を掴まれた。
｢ひっ！｣
｢どうしたっ｣
え････････。
この声は。
振り返ったら、智君だった。
驚いた顔で私を見下ろす智君がそこにいて、智君は私を自分に向き直らせると心配そうに覗き込んできた。
｢A？ どうした？ なにがあった？｣
珍しく早口の智君。
｢智君･･････｣
驚愕で強張ったままの私のびしょ濡れの前髪を指で払うと、智君はそっと、壊れ物に触れるように私を抱きしめた。
｢もう大丈夫だから｣
耳元でしっかりと吐かれた言葉は、私を暖かな布団にくるまった時のような心地を与えた。
｢離さねぇよ？｣
誰にも渡さないとばかりに、智君の腕にぎゅっと力がこもって、私はようやく大きく息を吐き出した。
･･･････よかった。
もう大丈夫だ。
私にはこの腕があった。
｢智君･･････｣
私は暖かな胸に頬を寄せた。
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kiki(プロフ) - ao様 お気遣いありがとうございます！今日は快晴です、ao様の作品を読み返して私の心も快晴です！智くんのソロキャンプ見てキュンキュンです。更新楽しみに待ってます！ (2020年7月8日 12時) (
レス) id: 8817d67ddc (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - みかぽさん» みかぽ様こんにちはー。智君好きなので、時々智君出さないと私が飢えるので(笑)随所に萌えを散りばめてあります。このあとも波乱含みですが賑やかなアパートをよろしくお願いいたします！ (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ていくさん» ていく様こんにちはー。賑やかなアパート。最後の「引っ越してぇ･･･」に智君の思いが全部詰まってて笑えます。さてさて、どうなりますでしょうか！ (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様こんにちは！九州地方でいらっしゃったんですね。今日もそちらは雨でしょうか。天災は避けようがないので本当に困りものですね･･････。そんな中で、ここでもし癒やしが届けられていれば本当に嬉しいです。面白い展開になってきましたよー。 (2020年7月8日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あゆみさん» あゆみ様コメントありがとうございます。とても嬉しかったです。被害はなくとも心労は重なりますよね。ここで少しでも癒すことが出来ればと思います。愛と萌えをてんこ盛りで、これからもお届けできればと思います。ありがとうございました〜！ (2020年7月8日 8時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2020年6月27日 18時
