5話 ページ36
｢なげぇんだよ！｣
割って入ったのは和也君。
剥がすように引き離されたけど、予想通りだったのか雅紀君は笑っていた。
すっきりした顔だった。
それを見たら、嬉しくなった。
目の前では、雅紀君を取り囲んでみんながワイワイ文句を言っているんだけど、どの顔も笑ってるから、まるでやっと言えた告白をみんなで祝福しているようにも見えて、見ていると思わず私も笑みがこぼれた。
すぐに答えられなくて申し訳ないんだけど、私、幸せ者だな･･･････。
｢･･････忘れられてる？｣
智さんの声にはっとして、慌ててそのそばに寄った。
｢ごめんなさい。あの、えっと･･････何の用事ですか？｣
脱がされるなんて思ってないけど確認してしまう。
すると智さんは、見せたいものがあると言った。
｢見せたいもの？ じゃあ行きます｣
着いて行き始めたら、なぜかみんなも一列になって着いてきて、その滑稽さに廊下を歩きながら吹き出してしまった。
智さんはちらりとそんな背後を振り返り、呆れたように笑ってた。
智さんの部屋に、初めて入らせて貰った。
そこは以前にドアの隙間から覗かせて貰ったままの、たくさんの個性溢れる造形物で溢れていて、感心してしまう。
智さんが私に見せたかったのは一枚の絵だった。
｢出来たから、飾る前に見せようと思って｣
私は壁に立て掛けられた絵を見て息をのんだ。
｢すごい･･････｣
･･････それは、釜戸の絵だった。釜戸を覗き込んでるおチビな小人がいて、小人は匂いを嗅いでいる顔をしていた。
全体的に暖色系の色が使われたそのちょっと不思議な絵は、ひと目でピンと来た。
｢智さん、これ、パン屋さんに飾ってくれる絵ですか･･････？｣
いつか、レジの横に飾ってくれるって約束していた絵。
正解の証拠に智さんは得意げに唇を尖らせて言った。
｢思ったより時間かかったけど、うまく行ったと思う｣
｢うまくいき過ぎです･････｣
私は感動して目が離せなかった。
それはパン屋さんに飾るのにぴったりの雰囲気の絵だった。でも智さんの個性も生きていて、魅力的で面白い絵。
私が振り返って、凄い！って褒めたら、智さんははにかんで笑った。
みんなも私と同じ気持ちで、誇らしげな顔でその絵を見つめていた。
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ao(プロフ) - junさん» jun様こんにちはー。あははは、私も書き終わりたくないですー！(笑)。一生あそこに住んでいたい。 (2020年2月25日 13時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - しまかわさん» しまかわ様こんにちはー。私もパワーがあれば過去作品の番外編とか書いてみたいんですけどなかなか時間がなくて。想像したりはしてますよー。コメントありがとうございます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - えむさん» えむ様こんにちはー。確実にえむ様には萌えていただけるだろうと思ってました！萌どころが一緒なので。喜んでもらえてよかったです！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ともさん» とも様こんにちは。ほんとに悩ましい限りです。みんなとつきあわせてあげたいです。次回もお楽しみに。コメントありがとうございます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
jun(プロフ) - 大野家出て行きたくなーい！ (2020年2月24日 23時) (レス) id: 37d10c3172 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2020年2月15日 9時
