2話 ページ2
「家。受け取りたくないって思う?」
「・・・・・当たり前だろ」
「・・・・・だよね」
潤君は顔を上げた。
「Aさん分かんの・・・・・・?」
私は頷いた。
「私が潤君の立場で、潤君のキョウコさんに対する気持ちを考えたら、同じように受け取りたくないって思うよ。それが普通だよ?」
潤君の肩から力が抜けた。
「・・・・・・ごめん。今すげぇ有り難くって、涙出そう」
「泣いていいよ?」
私の言葉に潤君は笑った。
「泣かねぇわ。・・・・・・告白した相手にこれ以上醜態見せてちゃだめでしょ」
私は全然いいんだけど。
「・・・・・家なんて貰ったら、ますますあの女との結び付きが強くなんじゃん。・・・・・・ごめんだわ」
潤君の言い分はもっともだった。
でも、私はふと思い至った。
「この家・・・・・・貰ったらどうかな」
「はぁ? 言ってることが目茶苦茶だな、おい」
「うん・・・・・。あのね? この家を貰って、それを家族のために使うなら、それは潤君の喜びにならない?」
潤君は瞬きした。
「・・・・・言ってる意味がよくわかんねぇけど」
「私、思うんだけど、多分みんなこの家が好きなんだと思うの。私も好きだし。だから一番若い潤君が、この家を守ってあげればいいんじゃない? 言うなら・・・・・家主さんかな? もしもみんながお金に困ることがあったら、この家を売って助けるのも潤君の自由だし、みんなを助ける手段が増えたって思えば、いいことだと思うけど・・・・・どうかな?」
私の言葉に暫く潤君は無言だった。
この考えには乗って来れないかなって不安になりかけた頃、潤君は苦笑した。
「・・・・ものは考えよう・・・・・か」
「キョウコさんが智さんに権利を譲渡したのは、慰謝料がわりの家の相続だったのかもしれないけど、智さんが受け取れないって思う気持ちもわからなくもないし」
「・・・・・・うん」
どこかから、鈴虫の羽音が聞こえていた。
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ao(プロフ) - junさん» jun様こんにちはー。あははは、私も書き終わりたくないですー!(笑)。一生あそこに住んでいたい。 (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - しまかわさん» しまかわ様こんにちはー。私もパワーがあれば過去作品の番外編とか書いてみたいんですけどなかなか時間がなくて。想像したりはしてますよー。コメントありがとうございます! (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - えむさん» えむ様こんにちはー。確実にえむ様には萌えていただけるだろうと思ってました!萌どころが一緒なので。喜んでもらえてよかったです! (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ともさん» とも様こんにちは。ほんとに悩ましい限りです。みんなとつきあわせてあげたいです。次回もお楽しみに。コメントありがとうございます! (2020年2月25日 13時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
jun(プロフ) - 大野家出て行きたくなーい! (2020年2月24日 23時) (レス) id: 37d10c3172 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ao | 作成日時:2020年2月15日 9時