5話 ページ19
｢･･････サイン？｣
妙なこと言い出したって思ってる？
｢そう。･･････お節介をやくつもりはないの。そんなのしたら、また和也君に怒られるから。･･････でも、仮に和也君の方から、二人きりになりたいなぁっていう雰囲気が出た場合、私達お邪魔でしょ？ そういう時、私達であらかじめサインを作っておけば、上手く場が抜けられるんじゃないかって思って、その相談にね｣
潤君はマジマジと私を見つめてきた。
あ、馬鹿にしてる顔だ。
私は言い訳のように付け加えた。
｢だって本来私達は必要ないわけでしょ？冬美ちゃんにとったら二人きりが絶対いいんだし｣
｢お節介｣
｢･････そうなっちゃうの？｣
潤君にも怒られるんだろうかって落ち込みかけた。
でも潤君は吹き出して笑った。
怒ってないの？
｢それどんなサインにするつもりだった？｣
｢野球の監督がするようなのを想像してた｣
すると潤君の目が輝いた。
｢野球好き!?｣
｢えっ。･････ううん、お父さんが好きだったから、横で一緒に見てた程度で、自分から見ようとまでは思わなかったけど･･････なんか、ごめん｣
がっかりするから、思わず謝ってしまった。
｢潤君は野球が好きなの？｣
｢･････まぁ。野球やってたから｣
｢そうなの!?｣
私の反応とは真逆で、潤君は自嘲気味に俯いてぼそりと言った。
｢もうやめたけど。小さい頃は野球選手になるのが夢だったよ｣
｢じゃあ今の夢は？｣
さっきも何に興味があるのかって、同じことを尋ねていたなって気がついた。
私、潤君の将来に凄く興味持ってるのかな。自分が考えている以上に。
｢･･････夢？｣
潤君は夜空を見上げた。
｢･･････そんなの言える身じゃねぇから｣
｢どうして？夢を語るのに身分とかある？｣
｢あるよ。･･････俺だけは言っちゃだめなんだよ｣
私はその言い方が物凄く寂しく聞こえて、急いで潤君に向き直った。
｢潤君だけどうしてだめなの？｣
｢わりぃ。･････言えねぇわ｣
そう言って俯いてしまった潤君は全てを遮断していて、孤独に見えた。
｢潤君･･････｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1078人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - keiさん» kei様こんにちは。いつも嬉しいコメントをありがとうございます。コメントに癒されてます〜。萌と癒やしの両立てて、引き続き頑張って行こうと思ってます。よろしくお願いいたします！ (2020年1月22日 12時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - ぐちこさん» ぐちこ様こんにちはー！好きを読んで下さったとお窺いして、思わず私も読みに行っちゃいました。11から読んだの。涙出そうになりました。感動を思い出させてくれてありがとうございます！familyもそんなお話になるよう頑張りますね！ (2020年1月22日 12時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あさこさん» あさこ様こんにちは！たまに、高校生組大人になった姿も書いてみたいなぁって思います。絶対いい男に育ってるから。名前呼び、確かにみんなドキッとしそうですね(笑)。想像して萌えちゃいました〜。ありがとうございます！引き続きよろしくお願いいたします！ (2020年1月22日 12時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - Miyaさん» Miya様こんにちは。コメントありがとうございます！大野家の家族事情は複雑ですが、愛があればなんのそのです。今後も癒やしと萌をお届けできるように頑張りますね！よろしくお願いいたします！ (2020年1月22日 12時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - あやかさん» あやか様こんにちは。コメント下さってありがとうございます。とても嬉しいです。翔さんね、ちょうど今書いてるとこです。兄弟の中で大人組なのでね、ムード出て来ますよ、やっぱり。興奮しながら書いてます(笑)。お楽しみに〜。今後ともどうぞよろしくお願いいたします (2020年1月22日 12時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ao
| 作成日時：2019年12月29日 18時
