3話 ページ28
この時私は、1000円以上も過不足を出したのは初めてで、動揺していた。隠さなきゃって必死だった。
1000円あったら、パンが5つも6つも買えてしまう。一つ作るのだって大変な作業なのに、店長に申し訳なさ過ぎる。
なによりこれ以上、情けない自分を露呈したくなかった。特にこの場所では。このお店だけが、私が楽に呼吸できる場所だったから、幻滅されたくなかった。
でも、そっとレジに入れた1000円札は
後ろから伸びてきた手につまみあげられ、取り出されてしまった。
息をのんで振り返ったら、店長がいて、店長は自分が取出した1000円札を不思議そうに見つめていた。
いつの間に来てたの!?
･･････ばれた！
私は怒られると思って身をすくませた。
すると店長はその1000円札を眺めながら言った。
｢･････これ、なんか特別なやつ？｣
｢･･････え？｣
｢売ったら高くなるやつとか。あんでしょ？ 印刷されてる番号とかで｣
｢い、いいえ･･････違うと思います｣
すると店長は私にそのお札を返してきた。
｢違うの？ んじゃいらねぇからしまってよ。売上じゃねえし｣
ああ、やっぱりごまかそうとしたことはばれていた。
｢店長･･････｣
責められてるわけじゃない。
店長はいつも通りのふんわりした顔だし。
でも、私は涙が込み上げてきて、思わず嗚咽してしまった。
堪えられず、その場に座り込んで、大号泣した。
過不足を出したことも、それを正直に言わずにごまかそうとしたことも、店長に見抜かれてしまったことも、情けなくて情けなくて。
ついでに、1年経っても馴染めない大学のことや、岳のこと、友人関係のこと。何より流されて生きるしか出来ない最低な自分。それらまで全部一緒にして、店長はまるで関係ないのに、大泣きした。
私ってどうしてこうなの･･････。
もう、生きていたくない。
私がうずくまって泣いている間、店長は何も言わなかった。
無関心なんじゃない。
証拠に、何分経ったかわからないけど、まだ泣きながらそっと顔をあげたら、店長は私の前に同じような格好でしゃがんで、じーっと私を見ていたの。
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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます！癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね！あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (2019年12月19日 21時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当？私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます！やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇｀*) (2019年12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています！ (2019年12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (2019年12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年11月26日 8時
