3話 ページ23
店長から貰ったガラスの靴を両手で持って駅の中に入った。
私のマンションは店とは反対側の降り口にあって、バイト後は、いつも駅の通路を通って帰っている。
でも、改札の前で彼氏の岳の姿を見つけて思わず一歩後ろに下がった。
知らない女の子と手を振って別れているところだったからだ。
･･････見送っているみたいだった。
帰ろうとした岳はこっちを振り返り、私がいるのに気付くと、目を見開いた。
一瞬気まずそうに視線を背けたけど、｢よぉ！｣って手を挙げると、明るい様子で私の方へやって来た。
｢奇遇じゃん！ バイトの帰り？｣
｢･･････そう｣
｢始めたって言ってたもんな。なに、どこでバイトしてんの？｣
･･････この前言ったはずなのにな。駅の裏のパン屋さんだって。
｢･･････駅の向こう側。それより岳、さっきそこで･････｣
パン屋さんだと教えたくなくてごまかした。
･･････いつもなら、岳が誰と喋っていても詮索することなんてなかった。
けれど、今日は両手の中のガラスの靴が勇気をくれているように感じて、ぎゅっと握りながら尋ねてみた。
｢そこで別れてたあの子は･･････誰？｣
岳は明らかに驚いているようだった。多分、私が質問をしたから。
でもすぐに笑って言った。
｢今日、サークルの奴らでさ、宮下んちに遊びに行ってて、そこに来てた子。友達の友達みたいな？｣
｢じゃあ、初めて会う子？｣
｢･･････そうだったかな？｣
･･････ごまかした。
･･････浮気してる子って、もしかして一人じゃなかったのかな･･････。
岳は気を取り直すようにテンション高く言った。
｢それよりさ、今からAんち行ってい？ 飯食わせてよ｣
それを聞いた瞬間、胸が嫌な気持ちになった。
･･････今夜は呼びたくないって思った。
｢･･････ごめん。今日は無理かな｣
驚いてる岳。
いつもなら断らなかった。声をかけてきたら、喜んでる顔で受け入れてた。
これまでは、一度断ってしまったら二度と来てくれなくなる気がして、断るなんて考えたことがなかった。断ったら別れようって言われちゃうと思って。
･･････でも、今日はうちに入れたくなかった。
私はガラスの靴を握り直した。
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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます！癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね！あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (2019年12月19日 21時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当？私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます！やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇｀*) (2019年12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています！ (2019年12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (2019年12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年11月26日 8時
