3 店長と次男 12/7 ページ16
ある日の日曜日、私は開店から入るパターンの午前勤務で働いていた。
店長は、一人で全部のパンを作っているわけではない。明け方から昼過ぎまで、バイトの男の人を雇っている。俳優志望の、劇団員の綾野さん。
ストイックで職人気質な綾野さんはいつも鋭い目つきでパンを作っている。
それはそれは真剣な眼差しだ。深刻と言ってもいいくらい。その真剣さから、一見してどちらが店長かわからない時がある。
でも綾野さんは店長のことを凄く尊敬していて、そのリスペクト具合は深く、いつも店長に熱い眼差しを送っている。
店長という人は実に不思議な人だった。
翔さんみたいなリーダーシップはまるでないのに、なぜか人に尊敬されてる。
私の中で、ニュータイプ。
綾野さんが帰って行ってしばらくすると、店長がひょこっとキッチンから顔を出して、私を呼んだ。
｢･･････わりーんだけど、ちょっとだけ今日残れる？｣
｢え？ はい。大丈夫ですよ？｣
店長はそれを聞いてほっとしたように笑った。
あ、可愛い。
･････そういえば店長っていくつなんだろう。翔さんがいるんだから40歳以上に違いないんだけど、見た目はどう見ても20代だ。
笑顔だけなら幼稚園児に見えなくもない。
聞けば、遅番の人が二人とも急な家の用事で来れなくなって、今、代わりの人を探しているところなんだって。まだ見つからないからその間ちょっと残業して欲しいということだった。
私は本来、今日は13時までの予定だった。
｢店長。良かったら私、ちょっとだけと言わずに最後まで入りますよ？｣
｢えっ｣
｢用事ないから大丈夫です｣
｢まじで？｣
私の申し出に店長は顔を輝かせた。
その、ぱーっと光が差したみたいな純粋な喜びようを見て、言って良かったって思った。
喜んで貰えて嬉しい。
でも、その後もあと一人がどうしてみ見つからなくて、店長も用事でもう出なければならずに困っているのを見て、もう私一人でも頑張りますよって言った。だって可哀相なんだもん。
今日は6月の大安の日曜日で、結婚式に出る人とか、コンサートに行く人で、つかまりにくいみたい。
私の申し出に店長はびっくりしていた。
｢すげぇ頑張るね？ 俺は無理だわ〜｣
言い方が面白くて思わず吹き出してしまった。
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ao(プロフ) - えむさん» えむ様いつも応援ありがとうございます！癒やしと萌はいついかなる時でも重要ですよね！あればあるほど嬉しいもの。大野家のみなさんに是非癒されて下さいね。楽しみながら頑張ってまーす。 (2019年12月19日 21時) (
レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - なおさん» なお様こんばんは。もしやタンポポ色のあのお方のご担当？私もかき乱されているので尚更のことと拝察致します。癒やしと萌をお届け出来るように頑張りますね！ありがとうございます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - aoさん、おはようございます！やっぱりaoさんのお話を読むと暖かくなれます。次回の更新も楽しみに待っています(*´∇｀*) (2019年12月18日 10時) (レス) id: bd8350da83 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なんだか最近は自担に心をかき乱される事が多いのでaoさんのお話で癒される毎日です。いつも楽しみにしています！ (2019年12月18日 10時) (レス) id: 19cc532da8 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 萌和*さん» 萌和*様おはようございます。萌えにニヤニヤとだらしない顔をして作っている私に、紡ぐ言葉だなんて綺麗な表現を頂戴できて、凄く凄く嬉しいです。マイペースで頑張らせて貰いますね。ありがとうございます〜。 (2019年12月14日 6時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ao
| 作成日時：2019年11月26日 8時
