3話 ページ42
智君は近くの公園で私を鞄から出すと、ベンチに座り、水を用意して飲ませてくれた。
「ここ、綺麗になってる」
この公園が?
「ここまで乗って来た電車全部、ジュニアん時事務所までレッスンしに行くために乗ってたやつ。ここはその行き帰りで友達と遊んでた場所」
そうなんだ・・・・・・。
もしかして、電車で来たのは私に智君の思い出の場所を見せてくれようとしていたから?
「結構変わってんね。・・・・・おっさんになるはずだわ」
「ニャア」
そんなことないよ? 智君はおじさんじゃないよ。
「・・・・・・行くか」
智君は私を抱っこすると公園を出て実家の方へ歩き出した。
途中、小さい頃に遊んだ場所や、もう閉店した、駄菓子を買いに行っていた店とか、仲が良かった友達の家なんかを、智君はたまに早口になりながら教えてくれた。
早口になるのは恥ずかしい時だね、きっと。フフフ。
実家に近づいたら、近所の人が智君を見つけては寄ってきた。変装してても一発でばれちゃうあたり、さすが地元だった。
智君がなんとか家の中に入れたのは、お昼を過ぎた頃だった。いつもの何倍もの時間がかかったみたい。
・・・・・・・帰りはタクシー決定だね?
智君は家に入るなり私を廊下に放すと、居間のソファにぐったりと寝転んだ。
私はソファの上に飛び乗ってその頬をペロリと舐めた。
「ニャー」
お疲れ様。ここに連れてきてくれてありがとう。
電車に乗り継いだり駅から歩いてきたのはきっと、私に育った景色を見せてくれるためだったんだよね?
お陰で智君のこと、またいっぱい知れたよ?
小さな智君がいろんな場所で遊んでいる姿が想像出来て、楽しかった。
このおうちに来れたことも凄く嬉しくって。
智君が私を大切に思ってくれていることが凄く感じられた。
智君のプライベートや思い出に触れさせて貰えるということは、信用して貰えているからだと思うから、余計に嬉しいの。
「ニャー」
智君はもう眠ってしまいそうだった。
よっぽど疲れたんだね? それともやっぱり実家は安心できる?
やがて寝息が聞こえてきて、私は愛しさで胸を詰まらせながら智君の寝顔を見つめた。
智君・・・・・大好きだよ。
1019人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ao(プロフ) - keiさん» kei様はじめまして。ようこそお越し下さいました。数日中に移行出来ると思うので、待っててくださいね。私も書きながら癒されてます。コメントのおかげでまた頑張れそうです。ありがとうございました。 (2019年9月7日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - aoさん、はじめまして。素敵なお話をありがとうございます。このお話のねこちゃんと大野さんに癒されて、ドキドキして、何回も読み返してます。更新を楽しみにまっています。 (2019年9月3日 17時) (レス) id: a6dd3c2537 (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様こんにちはー!本当に彼は魔性ですね・・・。魅力の塊です。酔わされちゃいますね。でも翔君もほんと凄い人で。あらためて、奇跡の五人に感動中です。 (2019年9月3日 6時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
mizuna(プロフ) - こんにちは〜久しぶりの更新に読む前からドキドキしてました(笑)aoさんと同じ様に本来なら私も翔くんタイプに恋する人間なので共感から笑っちゃいました、反対に智くんがそれを凌駕する魅力的な人って事でもあるので大野智は魔性ですね(笑)次回も楽しみにしてます! (2019年9月2日 15時) (レス) id: a740177e2c (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - blue3104さん» blue3104様こんにちはー!私は皆さんのコメントに癒しをいただいています。夏の終わりは疲れが出がちですから、どうぞご自愛くださいませ。お話読んで、癒されてくださいませ。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: 0d583270dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ao | 作成日時:2019年8月10日 9時