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今から ページ9

京都旅行から戻ってきた火曜日の夜、私が駅に着いたちょうどのタイミングで大野さんからメールが届いた。

 改札を出たところで、人波を避けて隅でメールを開いたら、「今から行ってもいい?」って書かれてあって驚いた。

 今は夜の9時半。

 この時間から?

 驚いたけど、迷惑だなんて言葉は一つも思い浮かばなかった。私の脳裏に浮かんだのは、この時間に会うなら、朝まで一緒にいられるのかなっていう甘い期待だった。



 私は深呼吸すると、返信した。

「えっと、『帰らないって約束してくれるならいいですよ』っと・・・・・・」

 大胆かな。

 でも、泥棒猫って叫ぶ女の人とライバルになるならこれくらいやらないとダメだよね。



 送信しようとしたら、後ろからその手を掴まれた。

 どきっとして振り返ったら、大野さんだった。









 驚きすぎて息をとめた私に、大野さんは泣き笑いみたいな顔で、私の手首を掴んだまま言った。

「会いたくないとかだったらそれ消して。もう来ちゃってんの」

「大野さん・・・・・・」

 きゅーって胸が締め付けられた。

 優しい綺麗な顔立ちを泣きそうにさせている大野さんのことが、好きすぎて辛い。

 いつの間にか、こんなに大好きになっていた。

 私は大野さんに電話の画面を見せた。

 それを見た大野さんは、目を見張った後、力が抜けたように肩を落として、はぁーっと盛大な溜息を漏らした。

 私と目が合ったら、くすぐったそうに笑った。




 大野さんは腕を掴んでいた手を滑らせて、そのまま私の手を握ってきた。

 恋人になって初めて大野さんと手をつないだ瞬間だった。

 大きくて、サラっとしていて、心地のいい手だった。包み込まれる。



「行こ」

「うん」


 
 まだなんにも聞いてない。

 真相は一つも分かってないんだけど、幸せで。

 大野さんがここにいる。私の手を取って、歩いてくれている。

 泣いちゃいそうだった。

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ao(プロフ) - cocoroさん» cocoro様、わお!素敵なコメントありがとう〜!嬉しいです!やる気出ましたよー!まだしばらくは頑張れそうだから今後もお楽しみに!よろしくお願いいたします! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんありがとう〜。動じなくって一言の重みがある。そうなんですよね〜、そこに惚れてるのです。こちらこそいつもありがとう!励みになってるよ。次も萌えられるよう頑張るね! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様、恐れ多い最高の褒め言葉をありがとうございます。拙い文章で、まだまだ切磋琢磨が必要ですが、自信になります。ありがとうございます!私の理想と一緒で良かったです!これからもよろしくお願いします。 (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様いつもありがとうございます!かっこいいのとゆるふわ、そうです、それが書きたくて。うふふ。令和も楽しみながら作って、自身も皆さんも癒せるといいなって思います。これからもよろしくお願いします! (2019年5月3日 8時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさ〜ん。もう「aoさんの大野さん」のない生活は考えられないよ。令和もよろしくです。aoさんが書き続ける限りずっと読者してます。 (2019年5月2日 21時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ao | 作成日時:2019年4月18日 13時

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