集合せよ ページ4
松本さんは相変わらずお洒落だった。
綺麗なラベンダー色のシャツに、黒いロングカーディガン。細かなチェックの線が入ったグレーの細身のパンツ、胸にはサングラス。
オシャレ過ぎて夜なのに眩しかった。
「お疲れ様です。お帰りですか?」
「うん。旅行に行ってきたの?」
「今から行くところなんです」
私は松本さんに、明日一緒に旅行に行く友達の家に、今から一泊しに行くことを伝えた。
「へぇ。いいね、楽しんできて。俺の家、この駅の最寄なんだ」
「そうだったんですか」
「近く?」
友達の家のことだよね?
「ここから歩いて10分くらいのところです」
「ふーん」
松本さんは頷いた後、当たり前のように、途中まで送っていくよと言ってくれた。
申し訳なくて断ったら、別れ道までだけ送っていく提案をしてくれて、それならと笑顔で頷いた。
私も夜道は心細いし、凄く助かる。
思いがけない出会いだった。
松本さんはジェントルマンで、「その荷物どれくらい重いの?一泊にしても軽そうだね、ちょっと持たせてよ」って言って、実にさりげなく私から荷物を受け取って、そのまま荷物を返すことなく車道側を歩いてくれた。
松本さんは本当に行き届いた人で、私は改めて舌を巻いた。
「松本さんの彼女って幸せでしょうね」
「どうして?」
「自分の気付かないところをフォローしてくれそうだから。しかもさりげないし、それをすることを松本さん自身が苦に思ってない感じなのが余計にいいなって」
「世話焼きではないよ? 俺も面倒な時はあるし」
「それでいいと思います。まずは自分を大事にしてあげて下さい。気遣い出来る人って、知らない間に疲れを溜め込んじゃうから。松本さんが一番幸せになってくれないと、みんなも幸せになれないし」
松本さんが無言になった。
私と同じ歩調で歩いてくれている。
時々肩が触れたら、甘い匂いが漂ってきた。
どんな香水を使ってるのかな。
きっと厳選したものに違いない。
心地のいい香りをそっと吸い込んでいたら、私のポケットで携帯電話が鳴った。
ポケットに手を入れるのと、松本さんが出ていいよって言ってくれたのが同時で、聞く前に言われるという、やっぱり先回りした松本さんの気遣いに感心した。
思わず笑顔になってしまった。
でも、立ち止まって、着信表示を見て笑顔が引っ込んだ。
大野さんからだった・・・・・・。
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ao(プロフ) - cocoroさん» cocoro様、わお!素敵なコメントありがとう〜!嬉しいです!やる気出ましたよー!まだしばらくは頑張れそうだから今後もお楽しみに!よろしくお願いいたします! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - keiさん» keiちゃんありがとう〜。動じなくって一言の重みがある。そうなんですよね〜、そこに惚れてるのです。こちらこそいつもありがとう!励みになってるよ。次も萌えられるよう頑張るね! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - mizunaさん» mizuna様、恐れ多い最高の褒め言葉をありがとうございます。拙い文章で、まだまだ切磋琢磨が必要ですが、自信になります。ありがとうございます!私の理想と一緒で良かったです!これからもよろしくお願いします。 (2019年5月3日 9時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - kikiさん» kiki様いつもありがとうございます!かっこいいのとゆるふわ、そうです、それが書きたくて。うふふ。令和も楽しみながら作って、自身も皆さんも癒せるといいなって思います。これからもよろしくお願いします! (2019年5月3日 8時) (レス) id: 492f498e0a (このIDを非表示/違反報告)
cocoro(プロフ) - aoさ〜ん。もう「aoさんの大野さん」のない生活は考えられないよ。令和もよろしくです。aoさんが書き続ける限りずっと読者してます。 (2019年5月2日 21時) (レス) id: 8d2a7d356c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ao | 作成日時:2019年4月18日 13時